採用選考で「AI使用禁止」はもう古い。応募者の半数が活用する時代に問われる評価設計

AI Use is Detectable in PR Hiring: Quality of Application Matters

ソースに基づく報道記事 5件の情報源
採用選考で「AI使用禁止」はもう古い。応募者の半数が活用する時代に問われる評価設計
画像: 情報ソースより

ポイント

  • PR DailyはAI時代の広報職採用でAI活用の質が問われると報じた
  • 採用担当者はAI生成コンテンツを見抜き、使い方で評価
  • ChatGPT普及で求人応募数が平均2~3倍増し、AI前提の選考が課題だ

米国のPR・コミュニケーション業界向け専門メディア「PR Daily」は、AI時代における広報・コミュニケーション職への応募者のAI活用について、採用担当者の実体験をもとにした論考を2026年3月7日公開の記事で報じた。

寄稿したのは、ケイトリン・ヴァンダー・ウィール氏。MITで神経科学のPhDを取得後、バイオ製薬・ヘルスケア企業向けの広報実務を経て、2020年に米国の小規模PR会社「Stellate Communications(ステレート・コミュニケーションズ)」を創業したCEOだ。同社は3名のパートナーで運営されるブティック型PR会社で、「科学者による科学者のためのコミュニケーション会社」を標榜し、研究機関・学術機関・非営利団体を主なクライアントとするという。

「ユニコーン人材」を探して採用方法を変えた

ヴァンダー・ウィール氏によると、Stellate Communicationsは記事公開の前月にあたる2026年2月、2名の採用活動を実施したという。いずれも「科学×コミュニケーション」という希少なスキルセットを持つ、同社が「ユニコーン人材」と呼ぶ人材の採用だったという。

この難しさに対応するため、同社は求人情報を広く一般公開するのではなく、適切なネットワークに対して選択的に配布するという、通常とは異なるアプローチを取ったと報じた。これにより、応募者の母集団そのものの質を高めることを狙ったとしている。

AI活用は「可」、問われるのは使い方の質

記事が核心として取り上げているのが、応募書類へのAI活用に対する採用担当者の見方だ。ヴァンダー・ウィール氏は、AIの使用そのものは問題ではないとしている。問題なのは、AIを使った結果として生まれる「画一的な文章」と「人間固有の判断力が見えなくなること」だとしている。

PR Dailyの報道によると、同氏は米国のChatGPT普及以降、採用担当者としてAI生成コンテンツを見抜く能力を身につけており、単純にAIに文章を生成させてそのまま提出するアプローチは、むしろ採用評価において逆効果になりうると指摘したという。つまり「AIを使ったかどうか」ではなく、「AIをどのように使ったか」が採用判断に影響するという実務的な視点が示されたとしている。

AI普及で応募数が急増、採用側の負担も増大

AIを使えば誰でも一定水準の応募書類を短時間で作成できるようになったことで、採用担当者のスクリーニング負担が大幅に増えているとされる。

Stellate Communicationsのような小規模・専門特化型の会社にとって、この問題は特に深刻だという。求人を広く公開すれば、AIで生成された画一的な書類が大量に届き、本当に必要な「ユニコーン人材」を見つけ出す作業が困難になる。同社が採用方法そのものを変えた背景には、こうした構造的な課題があったとしている。

米国のPR・コミュニケーション業界全体でも、AIツールの使用を一律に禁止するのではなく、その活用の質と人間固有の判断力をどう評価するかが採用担当者共通の課題となっているという。今後は「AIをどう使ったか」を選考プロセスの中で明示的に問う採用手法が、米国から広がっていく可能性があるとPR Dailyは論じている。

---

記者の目

この事例が日本の広報・人事担当者に突きつけるのは、「AI利用の禁止」という発想がすでに時代遅れだという現実だ。リクルートが2025年に実施した調査では、就活生の約45%がエントリーシート作成に生成AIを利用したと回答している。採用側が「AIを使うな」と言い続けても、応募者の半数はすでに使っている。禁止よりも「どう使ったか」を評価軸に組み込む設計が急務だ。

一方で、日本固有の課題もある。PRTIMESが2024年に実施した調査では、国内PR・広報担当者の約62%が業務に生成AIを活用していると回答している。現場ではAIを使いこなしているにもかかわらず、採用評価の設計は旧来のままというギャップが生じやすい。特に中途採用・専門職採用を行う広報部門は、今すぐ「AIを使った応募書類を前提とした選考設計」に切り替えるべき時期に来ている。評価基準を変えなければ、本当に欲しい「AIを賢く使いこなせる人材」を見逃し続けることになる。

情報ソース一覧

AI採用広報生成AI

記事内容に関するお問い合わせ・フィードバックはこちらからお寄せください。