巨額訴訟に「全否定」せず反論したAmazonの危機対応が示す第三の選択肢

Amazon's Rebuttal Strategy: Learning from Accusations of Inflating Ad Costs

ソースに基づく報道記事 9件の情報源
巨額訴訟に「全否定」せず反論したAmazonの危機対応が示す第三の選択肢
画像: 情報ソースより

ポイント

  • 米FTCと22州がAmazonを提訴した
  • 広告費を無断でつり上げ、200億ドル超を不当に得た疑い
  • Amazonは「的外れだ」と訴えを否定し、自社ブログで詳細な反論を展開した

米PR業界専門メディアのPR Dailyは、Amazonが米連邦取引委員会(FTC)から提訴された問題をめぐり、自社ブログで詳細な反論を展開したと2026年9月2日公開の記事で報じた。

FTCと22州がAmazonを提訴

米国の消費者保護・競争促進を担う規制機関であるFTC(日本の公正取引委員会に相当)は2026年8月31日、22州の司法長官とともにAmazonを連邦裁判所(ワシントン州西部地区連邦地方裁判所)に提訴した。ロイターおよびCNBCが同日報じた。

訴状の核心は、Amazonが2019年に広告オークションのルールを変更した際、広告主に無断で「ソフト・リザーブ・プライス」と呼ばれる非公開の最低落札価格を設定し、広告価格を秘密裏に引き上げたという疑惑だ。CNBCによると、FTCは訴状の中でAmazonが「架空のオークション参加者」を使って価格を上昇させていたと社内幹部が認めた記録を引用しているという。

FTCのアンドリュー・ファーガソン委員長は声明で「Amazonの何百万もの広告主が、大幅に高い価格を支払わされるよう誤解させられた。この高コストは米国の消費者に転嫁されている」と述べたとCNBCは伝えている。

ロイターによると、FTCはこの行為によってAmazonが広告主から200億ドル(約3兆円 ※1ドル150円換算)超を不当に得たと主張しており、当局者は「数百億ドル規模」の損害賠償を求める方針だと明かしたという。ただし、具体的な請求額は現時点で確定していないとロイターは報じた。

Amazonの広告ビジネスについてロイターは、同社がGoogleとMetaに次ぐ世界第3位のデジタル広告企業であると伝えている。同社の広告売上高は2025年に686億ドル(約10兆2,900億円 ※同換算)に達し、2026年第2四半期には前年同期比26%増の198億ドル(約2兆9,700億円 ※同換算)を記録したという。

Amazonが「詳細なブログ」で全面反論

PR DailyはAmazonの反論手法に着目した。同社は訴えを「的外れだ」と否定するにとどまらず、自社サイトに長文のブログ記事を公開し、データと具体的な反論を展開したとPR Dailyは伝えている。

Amazonは「約150万ページ、6年分の文書を精査した結果、FTCは一握りの簡略化されたコミュニケーションを根拠に、会社全体で広告主を欺く組織的な取り組みがあったと主張している。それは明らかに事実と異なる」とブログに記したという。

また同社は、スポンサー・プロダクト検索広告の平均落札価格が2019年から2025年の間に50%下落したとするデータを提示し、「広告主は説明書きではなく、実際の成果に基づいて入札額を調整する」と反論したとPR Dailyは伝えた。

さらにAmazonは、一部の旧い教育動画や研修資料にオークションシステムに関する説明が古くなっているものが含まれていたことは認めた。ただしそれらは「限定的な範囲にしか届いておらず、その後削除または更新された」と説明したという。

ロイターによると、Amazon株は訴訟が発表された8月31日に約2.5%下落した。

ブログを使った反論が「信頼性」を高めた理由

PR Dailyは今回のAmazonの広報対応を「組織が攻撃を受けたとき、特に法的問題が絡む場合、すぐに防御的になりたい誘惑に駆られる。しかしAmazonは強い言葉でより大きな虚偽の告発だと明確にしつつ、認める問題は認めるという対応をとった」と評価した。

短い声明文をメディアに送るのではなく、詳細なブログを公開することで「人々を誘導できる場所を確保しながら、ある程度のナラティブのコントロールを維持することができた」とPR Dailyは分析している。

なお、今回の訴訟はAmazonとFTCの間で続く一連の法的対立の最新局面でもある。ロイターによると、Amazonは2025年9月(前年)にFTCがプライム会員制度への勧誘をめぐって提起した別の訴訟を25億ドル(約3,750億円 ※同換算)で和解しており、独占禁止法違反を問う別の訴訟でも来年裁判に臨む見通しだという。

情報ソース一覧

Amazon危機対応広報戦略FTC

記事内容に関するお問い合わせ・フィードバックはこちらからお寄せください。