英米PR担当者の91%が生成AI活用、日本との格差鮮明——Cision年次調査

Cision Report: 91% of US/UK PR Pros Use Generative AI, Japan Lags Behind

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英米PR担当者の91%が生成AI活用、日本との格差鮮明——Cision年次調査
画像: プレスリリースより

ポイント

  • Cisionの調査で、英米PR専門家の91%が生成AIを業務に活用
  • アイデア創出73%、ライティング68%と用途も具体化された
  • 急速なメディア変化とリソース不足が業界の課題として浮上した
米国イリノイ州シカゴに本拠を置くPRテクノロジーの世界的大手企業・Cision(シジョン、世界17万社以上が利用するPRソフトウェア市場のリーダー)は、PR業界の年次動向調査レポート「Inside PR 2026」を2026年1月6日に発表したと、PRニュースワイヤーが2026年3月8日公開の記事で報じた。

同レポートによると、調査対象は米国・英国のPR専門家約600名で、回答者の91%が業務に生成AIを活用していると回答したという。用途別では、73%がアイデア創出に、68%がライティングやコンテンツ改善にAIを使用していると明らかにされた。Cisionがメディアデータベース・プレスリリース配信・効果測定を一元化する統合PRプラットフォーム「CisionOne」を通じて毎年発行している同レポートは、英米のPR実務の標準的な羅針盤として業界に広く参照されているとされる。

PR業界が直面する最大の課題については、回答者の60%が「急速に変化するメディア環境への対応」を挙げたという。続く58%は「リソース不足」を指摘しており、特に現場マネージャー層ではこの割合が67%にまで上昇したとレポートは示している。Cisionは、こうした構造的な課題が英米PR業界全体に「アジリティ・ギャップ(戦略と実行の乖離)」をもたらしており、ツール導入だけでなくデータリテラシーの向上と組織変革を同時に求められている状況だと分析しているという。

PR代理店に絞ったデータでも課題は鮮明で、代理店の71%がメディアの断片化を主要な課題として認識していると報じられた。テレビ・新聞・ウェブ・SNSなど情報の接触経路が多様化する中で各メディアの影響力を定量的に把握しPRキャンペーンの効果を証明することが従来以上に難しくなっているという背景があると、同レポート内で説明されているという。同レポートは、AIを活用したメディアモニタリングとレポーティングへの移行が、PRのビジネス価値証明に直結する構造へと変化しつつあると指摘しているとされる。

PR活動の優先事項については、最も多い36%が「ブランド認知向上」を最優先と答えた一方、「収益・ROI・売上への貢献」を挙げた割合は全体で26%にのぼったという。ただし、この数字は役職・立場によって差があり、経営幹部(エグゼクティブ)層では32%、PR代理店では33%が「収益・ROI・売上」を優先課題としており、意思決定層ほどPR活動をビジネス成果と直結させて評価する傾向が強まっていることが示されたとレポートは伝えている。

Cisionのガイ・アブラモ最高経営責任者(CEO)は、「クリエイティビティとAI、そして測定可能なインパクトの融合こそがPRの未来を決定する」と述べているという。同社は2026年版レポートの背景として「PRの重大な転換期」を掲げており、AI活用・迅速な状況対応(アジリティ)・ROI証明の三点を今年の最重要テーマと位置づけていると報じられた。

記者の目

91%という数字が持つ意味を、日本の広報担当者は直視する必要がある。電通グループが2024年に実施した調査では、日本企業の広報・マーケティング部門における生成AI活用率は約40〜50%にとどまるとされており、英米の91%と比べて約半分以下の水準だ。矢野経済研究所の推計では国内PR市場は2023年度に約6,000億円規模に達したとされるが、この成長がAI活用の遅れと並走しているとすれば、市場規模の拡大が必ずしも競争力の向上を意味しないことになる。

特に直視すべきは「ROI証明」への意識格差だ。英米のPR代理店では33%がROI・売上貢献を最優先と答えているのに対し、日本のPR業界では「認知向上」や「関係構築」を重視する傾向が依然として強く、効果測定ツールの導入も大企業・外資系企業に偏在している。電通PR・共同PR・プラップジャパンといった国内大手がグローバルクライアントとの取引を維持・拡大するには、AIによるメディアモニタリングと定量的なROI報告を標準業務として組み込む体制を整えることが、今や選択肢ではなく前提条件になっている。

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生成AIPR業界Cision国際比較

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