従業員のSNS投稿が3万人にリーチしても企業が見えていないもの

Employee Advocacy Beyond Likes: What Social Media Metrics Miss

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従業員のSNS投稿が3万人にリーチしても企業が見えていないもの
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ポイント

  • IPRは、SNS指標だけでは「真の従業員アドボカシー」を測れないと指摘
  • 3万件のリーチでも、従業員の投稿動機は不明瞭なまま
  • 透明で双方向な社内コミュニケーションがアドボカシーを高める

PR・コーポレートコミュニケーション分野の研究機関であるInstitute for Public Relations(IPR)は、2026年9月2日公開の記事で、従業員のSNS投稿から得られる指標だけでは「真の従業員アドボカシー」を測定できないと述べた。

SNS指標だけでは「なぜ」がわからない

IPRが示した事例はこうだという。あるテクノロジー企業の営業部門に勤める従業員が、自社についてポジティブな内容をLinkedInに投稿した。その投稿は3万人にリーチし、強いエンゲージメントを生み、企業サイトへのトラフィックも増加した。広報・マーケティング・人事の各チームはこの成果を称えたという。

しかしIPRは、この数字が示せることには限界があると指摘する。その従業員がなぜ投稿したのかは、リーチ数やエンゲージメント数からは読み取れない。組織への強い帰属意識から自発的に投稿したのか、プロとしての存在感を高めたかったのか、同僚からの承認を求めていたのか、上司に促されたのか、あるいはその複数が重なっていたのか——こうした動機の違いは、投稿のパフォーマンス指標には一切表れないとIPRは説明している。

DSMN8が公表した2026年版の従業員アドボカシーに関するベンチマークレポートによると、多くの企業がSNSエンゲージメント、獲得メディア価値(earned media value)、クリック単価(CPC)、ウェブサイトトラフィックと転換率、ブランド認知度、フォロワー数の増加といった指標で従業員アドボカシーのROIを測定しているという。

IPRは、これらの指標は投稿の到達範囲や外部への影響を測る点では有効だとしながらも、なぜ従業員がそもそもコンテンツを共有しようとしたのかという動機や態度、人間関係は可視化できないと述べている。ダッシュボードは投稿が「何をしたか」は示せるが、その行動の背後にある関係性の基盤は示せないというのがIPRの見解だ。

また、上司に促されたからという理由や、承認・報酬が得られるからという理由でコンテンツをシェアする従業員が、必ずしも不誠実なわけではないともIPRは指摘している。より重要な問いは、組織が従業員アドボカシーをより深く理解するためにどのような追加情報を収集すべきかだとしている。

双方向コミュニケーションが鍵という研究結果

IPRはこの課題に対応するため、Dr. April Yue氏との共同研究を発表したと述べている。この研究は2つの目的を持っていたという。一つは6項目からなる従業員アドボカシー測定スケールの開発・検証であり、もう一つは社内コミュニケーション戦略が「組織的同一性(organizational identification)」と「従業員と組織の関係性(employee-organization relationship)」を介して従業員アドボカシーにどう影響するかを検証することだとしている。

研究の結果、透明性の高いコミュニケーションは組織的同一性と従業員・組織間の関係性の両方に好影響を与え、その結果として従業員アドボカシーが高まることが確認されたという。また、双方向の対称的なコミュニケーション——組織と従業員が互いの利益のために情報を双方向でやり取りする形態——が従業員アドボカシーに直接的にポジティブな影響を与えることも示されたとしている。

この研究結果が示唆するのは、従業員が自社を推薦したり、好意的に語ったり、批判に対して組織を守ろうとする意欲は、単にシェアするためのコンテンツが手元にあるかどうかで決まるものではないということだとIPRは述べる。それよりも重要なのは、組織がどのように社内コミュニケーションを行い、従業員との関係性を構築しているかだという。

AIによる代筆が「本物らしさ」を揺るがす

IPRはさらに、AIが従業員アドボカシーの議論に新たな複雑さをもたらしていると指摘している。業界レポートは、従業員アドボカシープログラムの運営担当者の92%がAIをコンテンツ制作のスケールアップに活用していると示しているという。

一方でLinkedInは、独自の視点や実質的な内容を欠く「低品質なAI生成コンテンツ」の表示を減らす取り組みを進めていると発表したとIPRは伝えている。同プラットフォームはAIを文章作成の補助ツールとして支持しつつも、人間ならではの本物の洞察の重要性を強調しているという。

IPRはこの状況を踏まえ、企業が従業員のSNS投稿内容だけを見てアドボカシーの状態を判断することへの警告を発している。AIが投稿の作成効率を高めることはできても、従業員が自社に対して抱く帰属意識や関係性の深さを生み出すことはできないという論点が、今回の記事の核心だとしている。

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従業員アドボカシー社内コミュニケーションSNS活用広報戦略

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