マーテックツール、機能の半分以下しか使えていない——Gartner調査が示す「ツール過多」の深刻な現実

Gartner Survey: Marketers Use Less Than Half of Martech Stack Capabilities

ソースに基づく報道記事 3件の情報源

ポイント

  • Gartner調査で、マーケターはマーテック機能の50%未満しか活用されていない
  • 2025年にはグローバルでツール総数1万5千件超に増加
  • 過剰なツール導入がROIを損ね、断捨離の動きが加速
英米を拠点とするPR・コミュニケーション業界専門メディアPR Weekは、1979年創業の米国調査・アドバイザリー企業Gartner(ガートナー、コネチカット州スタンフォード本社)の調査結果として、マーケターが自社のマーテックスタック(マーケティングテクノロジーツール群)の機能を50%未満しか活用できていないと2026年3月8日公開の記事で報じた。マーテックとは、CRM(顧客管理)、MA(マーケティングオートメーション)、広告配信、データ分析など、マーケティング業務を支援するソフトウェアツールの総称である。

マーケティングテクノロジー専門ブログ・調査メディアChiefMartec(チーフマーテック)が2011年から毎年発行している「マーテックランドスケープ」によると、2025年時点でグローバルのマーテックソリューション総数は15,384件に達し、前年比9%増加した。同レポートは世界のマーテックツール数の推移を追跡する業界標準資料として知られている。同レポートはまた、同期間に1,211件、全体の約8.6%にあたるツールがM&Aや廃業によって市場から退出したことも記録している。

PR WeekはGartnerの分析を引用し、「マーテックスプロール(martech sprawl)」と呼ばれるツール肥大化の問題を報じている。部門ごとに異なるツールを個別導入した結果、社内でデータが分散し、ツール同士の連携が機能しない状態に陥る企業が世界的に増加しているとGartnerは報告している。ライセンスコストは支払い続ける一方、実際に日常業務で活用されるツールはごく一部にとどまるという非効率な状況が、マーケティング投資全体のROI(費用対効果)を損なっているとGartnerは指摘しているという。

Gartnerはさらに、アジェンティックAI(人間の指示なしに自律的にタスクを実行するAIエージェント)プロジェクトの40%以上が2027年までに中止される見込みだと予測している。理由として、過剰な期待値と実際の事業価値の乖離が挙げられているとPR Weekは報じている。

マーケティング分析プラットフォームを提供するfactors.aiは、こうした課題への対応策として「マーテック断捨離」のアプローチを自社ブログで提唱している。具体的には、新ツールの導入に際して30日間のパイロット期間を設け、SQL率(リード化率)の10〜20%改善やCAC(顧客獲得コスト)の回収期間短縮といった具体的な指標を測定し、収益貢献が確認できないツールは積極的に廃棄する意思決定プロセスを推奨している。また、クラウドデータプラットフォームのSnowflakeは、マーテックスタックの統合管理においてデータ基盤の一元化が有効であるとする知見を自社サイトで公開している。

記者の目

Gartnerが示した「50%未満」という数字は、日本市場においてさらに深刻である可能性が高い。電通デジタルが2024年に実施した調査では国内企業の約60%がマーテック活用成熟度を「初期段階」と自己評価しており、Salesforceの「State of Marketing」日本版(2024年)によると日本のマーケターが導入するツールの平均は6.2種でありながら日常的に使用するのは2〜3種にとどまる。経済産業省の「DXレポート2.2」(2022年)でも、DXツール導入企業の約70%が「導入後の定着・活用に課題あり」と回答している。

広報・マーケ担当者がいま取るべき具体的なアクションは、自社で契約中の全ツールをリストアップし、過去30日間の実使用率を計測することだ。使用率が20%を下回るツールは解約候補とし、年間ライセンス費用の試算を経営層に提示する。「ツールを増やす」前に「使い切る」という発想の転換が、日本のマーテック投資の収益化に直結する。

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