「その全社会議、なぜ開く?」目的逆算で形骸化を打破した社内コミュニケーション改革の全貌
How M&T Bank Transformed Town Hall Meetings with 4 Key Questions
ポイント
- M&Tバンクは社内全体会議を根本的に再設計しました
- 「なぜ開くのか」を起点にコミュニケーション責任者が改革を主導
- 財務データの視覚化や4つの問いで会議を活性化させました
PR・コーポレートコミュニケーション専門のメディア・イベント会社であるRagan Communicationsが運営するメディア「Ragan.com」は、米国の銀行M&Tバンク(NYSE: MTB)が社内全体会議(タウンホール)を根本から再設計した取り組みについて、2026年5月8日公開の記事で報じた。
記事を執筆したのはRagan Communicationsのエディター、ショーン・デブリン氏。同メディアはこれに先立つ2026年3月25日にも同じテーマで詳報を掲載しており、今回の記事はその続報にあたる。
「なぜ開くのか」が出発点
改革を主導したのは、M&Tバンクの商業銀行部門でコミュニケーション責任者を務めるラッセル・エバンス氏だ。エバンス氏は、Ragan Communicationsが2026年4月にボストンで開催した社内コミュニケーション・企業文化専門カンファレンス「Employee Communications and Culture Conference」に登壇し、自らの取り組みを解説した。
エバンス氏が改革に着手した原点は、シンプルな問いだったという。「タウンホールがないと仮定しよう。なぜそれを作るのか。何のビジネス目的があれば、1時間集まることが正当化されるのか。それが出発点だ。明確に答えられれば、議題も登壇者も内容もすべてその目的に従うべきだ」とエバンス氏はRagonのインタビューで語ったという。
多くの組織がタウンホールを開く理由を明確に説明できないまま実施しており、それが経営戦略と従業員を結びつける機会としての会議を形骸化させていると、エバンス氏は指摘した。
財務データをダッシュボードで「色分け」
エバンス氏がまず手を付けたのは、財務データの見せ方だった。従来のタウンホールでは財務諸表をスライドで読み上げるだけだったが、エバンス氏は経営陣と協議し、銀行の健全性を示す業績指標を厳選した短いリストにまとめたという。
各指標には経営優先事項との関連が明記され、進捗状況を赤・黄・緑の3色で視覚的に示す方式を採用した。「各指標には明確な目的があり、リーダーはなぜそれが重要か、どう推移しているかを説明できた。スコアリングによって一目で状況が把握できるようになり、組織全体の従業員にとってはるかに理解しやすい会話になった」とエバンス氏は語ったとされる。
この変更により、従業員が日々の業務と事業成果の関係を理解しやすくなる効果が時間をかけて積み上がっていったという。
対話形式の「Plans in Action」で戦略を具体化
財務指標の整理を土台に、エバンス氏は次にタウンホールで「戦略が実際に動いている場面」を見せる仕掛けを設計した。その核となるのが、「Plans in Action(プランズ・イン・アクション)」と名付けられた新設セグメントだ。
このセグメントでは、M&Tバンク全体で取り組んでいる製品やプログラムのうち1件を取り上げ、その担当者と対話形式のインタビューを行うことで経営戦略との接続を示す構成をとる。担当者が一方的にプレゼンテーションするのではなく、エバンス氏自身がインタビュアーとなって話を引き出す形式だという。
「担当者にプレゼンさせるのではなく、私が座って対話形式でインタビューする。そうすることで、理解が積み上がる形で会話を誘導できる。業務を戦略に結びつけ直し、なぜそれが重要なのかを明確にできる。従業員が実際についていける内容になる」とエバンス氏はRagonに語ったという。
「Plans in Action」セグメントには、毎回再利用可能な4つの問いからなる構成が設けられている。その問いとは、①そのイニシアチブは何か、②なぜ会社が投資しているのか、③どんな問題を解決するのか、④どの戦略優先事項を支えているか、の4点だ。「対話として構成することで、細部に飛び込む前に根本から物語を積み上げられる」とエバンス氏は説明したという。
第4四半期タウンホールで「事前の明確化」を実現
エバンス氏はさらに、タウンホールの効果測定の仕組みも整えた。毎回の会議の終盤に同じ質問セットを繰り返すことで、従業員の理解度の変化を時系列で追跡できるようにしたという。「人々が会社の方向性を理解し、それを信じているかどうかのシグナルが得られる。コミュニケーションが機能しているかを本当に伝えてくれるのはそこだ」とエバンス氏は語ったとされる。
具体的な応用例として、エバンス氏は第4四半期に向けたタウンホールを四半期開始前に実施した事例を紹介した。リーダーたちはチームに対して明確な指針と、自分たちの業務が会社目標にどう貢献するかをわかりやすく説明したという。「第4四半期に達成すべきことに集中し、四半期開始前に開催した。四半期の途中で対応するのではなく、最初から明確な状態でチームが動き出せた。リーダーが自身の優先事項を研ぎ澄ます助けにもなり、会議の構造が組織全体の方向性をそろえる役割を果たした」とエバンス氏は語ったという。
なお、エバンス氏は同カンファレンスの登壇でAIと社内コミュニケーションの関係についても言及している。従業員がAIで生成されたコンテンツを見分ける能力がかつてないほど高まっており、人間的な手触りのないコンテンツへの反感が広がっているという見解を示した。その上で、タウンホールはこの傾向の例外であり、人間的なつながりが生きる場だと述べたとされる。「AIで生成されたと分かる。手を抜いて書く気がないなら、私も読む気がない。多くの従業員が毎日そう感じており、その例外のひとつがタウンホールだ。タウンホールはリアルだ」とエバンス氏は語ったという。
情報ソース一覧
- M&T Bankがタウンホールミーティングを再考し、理解度を向上させた方法について - Ragan Communications A look at how M&T Bank rethought its town halls to improve understanding - Ragan Communications www.ragan.com/ragan-eccc-2026-town-halls-evans/
- M&T Bankのタウンホール再構築の内幕:ダッシュボード、インタビュー、そして集中的な議題 - Ragan Communications Inside M&T Bank's town hall rebuild: Dashboards, interviews and focused agendas - Ragan Communications www.ragan.com/internal-comms-town-halls-mt-bank/
- M&T Bankの融資がサガモア・ビレッジの修復を推進し、ポートランドで200戸の手頃な価格の住宅を保全 M&T Bank Financing Drives Sagamore Village Restoration, Preserving 200 Affordable Homes in Portland newsroom.mtb.com
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- M&T Bank、サービス不足地域、有色人種のコミュニティ、中小企業を支援する430億ドルのコミュニティ成長計画を発表 M&T Bank Outlines $43 Billion Community Growth Plan To Support Underserved, Communities of Color and Small Businesses newsroom.mtb.com
- M&T Bank - 公開コメント - 2021年4月13日 M&T Bank - Public Comments - April 13, 2021 www.federalreserve.gov/foia/files/mt-bank-public-comments-20210413.pdf