競合の炎上を24時間で好機に変えた2ブランドに学ぶ「即応キャンペーン」の設計術
How Shoe Brands Turned Nike's Marathon Ad Blunder into a Marketing Win
ポイント
- ナイキのボストンマラソン広告炎上を機に、競合2ブランドが戦略展開
- エコーは「Walk Your Walk」キャンペーンを即座に開始し、スニーカー100足配布
- エコーのインスタ投稿は12万3千いいねを獲得、ウェブサイトトラフィックも記録的
ファッション業界メディアのGlossyは、2026年4月23日公開の記事で、ナイキのボストンマラソン広告炎上をきっかけに、競合2ブランドが即座にカウンターキャンペーンを展開したと報じた。マーケティング専門メディアのMediaPostも2026年4月21日公開の記事で同件を取り上げている。
ナイキ炎上の経緯
2026年4月20日に開催されたボストンマラソンの開催週、ナイキはボストンのニューベリーストリート店舗付近に複数の看板を掲示した。その中の1枚に「Runners welcome, walkers tolerated(ランナー歓迎、ウォーカーは黙認)」という文言があり、オンライン上で即座に批判が噴出した。
ウォーキングを交えながらマラソンを完走する参加者を蔑ろにする表現として「排他的だ」という声が相次ぎ、ナイキは掲示から24時間以内に看板を撤去した。ナイキは声明で「私たちは、ペースや経験、距離に関わらず、より多くの人にランニングを楽しんでほしいと思っています。ボストンのレースウィークに、ランナーを鼓舞するための看板を複数掲示しましたが、そのうちの1枚がふさわしくないものでした」と述べたという。Fortuneの報道によると、ナイキの看板はマラソン参加者の誇りに訴える意図があったとみられるが、「ランニング文化への重大な読み違えだった」と評されたという。
エコーが展開した「Walk Your Walk」キャンペーン
デンマークの靴ブランド・エコー(Ecco)は、この炎上を自社マーケティングの好機として即座に活用した。ボストンマラソンのレースウィークに、ボストン市内に「No run intended. Walk your walk(走るつもりはない。あなたの歩みを歩め)」というコピーのビルボードを複数設置し、「Walk Your Walk」と銘打ったグローバルキャンペーンを立ち上げた。
さらに、ボストンマラソン当日の2026年4月20日には、日常的なウォーカーや観戦者に向けてスニーカー100足を無料配布し、コース沿いに応援ステーションも設置。応援ステーションでは「ランナーもウォーカーも同じ熱量で」エールを送ったと、ブランドの声明は伝えている。
エコーのグローバルCMO(最高マーケティング責任者)のエズラ・マーティン氏はGlossyの取材に対し「私たちは文化の中で何が起きているかに常にアンテナを張っています。あの瞬間、ウォーキングは文化的語彙の中心になりました。それが私たちの意見を発信する自然な場となったのです」と語ったという。またMediaPostが引用したPRWeekの報道によると、マーティン氏は「ナイキの広告により、ウォーキングは時代のカルチャーな話題になりました。私たちの靴はそもそもウォーキングのために設計されているので、その会話をエコーにとって有利な方向に転換する機会でした」とも述べたという。なお、マーティン氏はかつてナイキでマーケティング職を11年間務めていたという。
Glossyによると、キャンペーン開始後にエコーのウェブサイトへのトラフィックは記録的な数値を達成し、インスタグラムの投稿は12万3,000件以上の「いいね」を獲得したという。エコーのインスタグラムのフォロワー数は65万8,000人だとしている。マーティン氏は「人々が単に『いいね』を押すだけでなく、シェアし、保存し、ウェブサイトを訪問し、購入まで至っていました」と述べたという。
アシックスも即座に追随
日本の靴・スポーツ用品ブランドのアシックス(Asics)も、ナイキの騒動を受けてボストン市内に「Runners. Walkers. All Welcome.(ランナーもウォーカーも、全員歓迎)」というビルボードを掲示した。GlossyはアシックスがBillboardに「Move your body, move your mind(体を動かし、心を動かせ)」というコピーも添えていたと報じており、このフレーズはアシックスがこれまで展開してきた運動の精神的側面を強調するキャンペーンの延長線上にあるという。MediaPostは「アシックスはその場の空気を読む能力を示した」と伝えている。
Glossyの報道によると、「ウォーキング」という行為の文化的な存在感は近年高まっており、アナリスト企業のCircanaは日常的なフットウェアへの需要の増大を指摘しているという。マーティン氏も「消費者は長生きと生活の質を優先するようになっています」とし、ウォーキングが身体的・精神的・社会的メリットを持つ「誰でもできるウェルビーイング」の象徴になりつつあるという見方を示したという。
情報ソース一覧
- 朝食ブリーフィング:PRプロが月曜の朝に知っておくべき5つのこと Breakfast Briefing: 5 things for PR pros to know on Monday morning www.prweek.com
- Ecco、AsicsがNikeのマラソンでの失策に乗じる 2026/04/22 Ecco, Asics Capitalize On Nike's Marathon Misstep 04/22/2026 www.mediapost.com/publications/article/414492/
- Nikeのマラソン広告の反発が、新たなAsicsとEccoのキャンペーンを刺激 Nike’s marathon billboard backlash inspires new Asics and Ecco campaigns www.glossy.co
- EccoがNikeのボストンマラソン広告の失策に乗じ、「Walk your walk」キャンペーンを展開 Ecco capitalizes on Nike's Boston Marathon ad misstep with ‘Walk your walk’ campaign www.prweek.com
- ブランド炎上:Nikeが激怒を受けてマラソン広告を撤回 BRAND BACKLASH: Nike pulls marathon ad after outrage www.youtube.com/watch