「最も影響を受けるのは誰か」を最初に問う社内広報のコミュニケーション設計

Internal Comms: The Trevor Project's Crisis Strategy on "Who Should Hear First"

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「最も影響を受けるのは誰か」を最初に問う社内広報のコミュニケーション設計
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ポイント

  • 米国のNPOザ・トレバー・プロジェクトが社内広報戦略を公開
  • 敏感な事象では「誰が最初に聞くべきか」を問い、伝達順序を設計
  • 2025年人員削減時には「悼む時間」を設け、信頼を構築した

LGBTQ+の若者向け自殺防止を専門とする米国の非営利組織、ザ・トレバー・プロジェクトの社内広報責任者が、政治的・社会的に敏感な局面での社内コミュニケーション設計について語ったインタビューを、米国の広報・コーポレートコミュニケーション専門メディアのRaganが2026年8月26日に公開した。

インタビューに応じたのは、ザ・トレバー・プロジェクトの社内広報ディレクター、ンゴジ・マゲナ氏だ。マゲナ氏は、何らかの重大な社会的事象や報道が組織に影響を与えた際、広報チームとリーダーシップが最初に問うのはシンプルな一つの問いだと説明している。「最も直接的に影響を受けるのは誰か」——まずその問いに答えを出す。そのうえで「リーダーからの声を最初に聞く必要があるのは誰か」を決めるという。

「待ちの姿勢」が孕む限界

マゲナ氏は、多くの社内広報担当者が持ち合わせている問いとして「従業員はすでにこの話題について話しているか」「これは従業員に実質的な影響を与えるか」「業務運営上のインパクトがあるか」の三点を挙げた。しかし同氏はこうした「シグナルを待つ」姿勢には本質的に受け身の性格があると指摘し、先手を打つには組織のコミュニティと組織としてのアイデンティティへの深い理解が必要だと述べている。「社内広報を、私たちが自分たちについて語ってきたことの鏡にしたいとリーダーシップに伝えている。私たちがすでにあるもの、なると誓ってきたものを映し出すことだ」とマゲナ氏は語ったという。

同氏が示したこのアプローチが試された具体的な局面が2025年にあった。米連邦政府がザ・トレバー・プロジェクトを通じて提供していたLGBTQ+の若者向け専門危機介入サービス——精神保健・自殺防止の全国統一番号「988」で「3を押す」ことでつながるラインだ——が廃止となり、組織は大規模な人員削減を余儀なくされた出来事だ。

人員削減後に「悼む時間」を意図的につくった

Raganの記事によると、この人員削減対応においてザ・トレバー・プロジェクトの広報チームが重視したのは二つの要素だったという。「何が起きているかの詳細」と、「悼む空間」だ。マゲナ氏は、それ以前の人員削減後の社員フィードバックをもとに、従業員が詳細な事実情報を必要としているだけでなく、「悼み」のための時間と場所をも求めていることを把握していたと語った。

988の廃止は組織のコントロール外の出来事だったため、その感覚はとりわけ重要だったという。広報チームは削減後にコミュニティ的な集まりを意図的に設けた。従業員を集め、ザ・トレバー・プロジェクトがそのサービスにおいて果たしてきた先駆的な役割と取り組みを称える場を作ったのだと、同氏は述べている。「人々が互いに背を向けるのではなく、向き合える機会を与えなければならなかった。その瞬間は意図的に作り出す必要があった。放置しても自然に生まれるものではない」と語ったという。

「6〜7の受け手層」で伝える相手を絞る

コミュニケーションの送り先をどう判断するかについて、マゲナ氏は6〜7段階の受け手層(オーディエンス・ティア)を設けていると説明している。出来事が起きた際に、それぞれの層にどんな影響があり、何を必要としているかを問い直す仕組みだ。リーダーシップが「このことが影響を与えているのは誰かを一緒に考えよう」とSlackでメッセージを送ってくることもあるという。その場で「彼らが最初に聞く必要があるのは何か」「マネージャーが人をサポートするために何が必要か」を問う。その結論がFAQの形を取ることもあれば、シニアリーダーを先に動かすことになる場合もあると語った。

同氏は「全社一斉メッセージを送るたびに、そのメッセージの力が薄まる」と警告しており、組織全体への発信と、ターゲットを絞った発信を意識的に使い分けることの重要性を強調している。リーダーが敏感なテーマについて自信を持って発信できるよう支援する手段として、隔週のシニアリーダーシップの場でコミュニケーション案を事前に「試打ち」する機会を設けているとも語ったという。リーダーが質問を投げ、メッセージをつついてみることで、自分が実際に伝える前にメッセージを内面化できる。FAQやトーキングポイント、コミュニケーションの発信順序への見通しを与えることが「仕掛けの多くを生み出している」とマゲナ氏は述べた。

マゲナ氏のインタビューの詳細は、Raganが2026年10月に開催するInternal Communications Conference(社内広報カンファレンス)でも聞けるという。

情報ソース一覧

社内広報危機管理コミュニケーション戦略ザ・トレバー・プロジェクト

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