無報酬のクリエイター200人が行政広報を担う時代、企業の報道獲得戦略はどう変わるか

NYC Puts 200+ SNS Creators at Core of Public Relations

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無報酬のクリエイター200人が行政広報を担う時代、企業の報道獲得戦略はどう変わるか
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ポイント

  • ニューヨーク市は200人超のSNSクリエイターを広報中核に据えた
  • Signalグループで行政情報や素材を毎日提供する
  • クリエイターは無報酬で活動し、フォロワー規模は問わない

米国の広報・コミュニケーション業界専門メディアのPR Dailyは、ニューヨーク市長ゾーラン・マムダニ氏が構築したSNSクリエイターネットワークの内部構造を2026年9月4日公開の記事で報じた。

200人超が参加するSignalグループの実態

PR Dailyによると、マムダニ市長のチームは200人以上のSNSクリエイターと直接つながるルートを構築し、これを市政のメッセージ発信の中核に据えているという。具体的には「NYC Creators Announcements」と呼ばれる非公開のSignalグループ(暗号化メッセージアプリを使ったプライベートチャット)を通じて、クリエイターたちに毎日の行政情報、トーキングポイント(発信すべき要点)、動画素材、イベント招待状、市職員へのインタビュー機会などを提供しているとしている。このグループの調査はコロンビア・ジャーナリズム・レビューが実施し、市政と関係のある189人のインフルエンサーを特定した。グループのメンバーは200人以上だという。

Mediaiteなどの報道によると、グループを実際に運営しているのは、市のニューメディア・文化コミュニケーション担当ディレクター、エミリア・ローランド氏だとされている。

クリエイターは「無報酬のメディア」として機能

PR Dailyが伝えたローランド氏のコメントによると、「政治への深い不信感が広がっているいま、私たちの仕事は数十年来のコミュニケーションの慣習を守ることでも、公共情報へのアクセスをかつてコントロールしていた門番を保護することでもない」という。

重要な点として、PR DailyはクリエイターたちがこのSignalグループへの参加や市政の報道に対して報酬を受け取っていないと伝えている。取材対象を強制されることもなく、自分が関心を持つイベントや発表を自由に取り上げることができる仕組みだという。運用形態は、広報チームが記者に情報提供するプレスリストに近いとしている。

一方でPR Dailyは、市の各部署が別途、インフルエンサーを個別の広報キャンペーンに起用するケースもあると補足している。Mediaiteが引用した報告書によると、市職員の話として、こうした個別契約の場合はキャンペーン1件あたり5,000ドルから2万ドル(約75万円から300万円、※1ドル150円換算)の報酬がマーケティング・広告会社を通じてクリエイターに支払われるという。

フォロワー規模よりも「テーマの一致」を重視

このネットワークが注目される理由の一つは、参加クリエイターの多様性だ。PR Dailyによると、グループには控えめなフォロワー数を持つクリエイターから、数百万人のフォロワーを抱える大規模クリエイターまでが混在しているという。クリエイターは自分が住む地域や扱うテーマを市側に共有しており、それにより市側がより的を絞った情報提供を行える仕組みになっているとしている。

他のメディア報道によると、このネットワークの母体となったのは、マムダニ氏の市長選挙キャンペーンを支援したクリエイター組織「Creators4Zohran」だとされている。選挙キャンペーン用の支持者グループが市長就任後に行政広報の公式インフラへと転換されたかたちだ。

ローランド氏はメディア環境の変化についてこうも述べている。「メディアの独占が進んだ結果、主要メディアは読者・視聴者を大量に失い、重要な報道はペイウォール(有料の壁)の向こうに閉じ込められ、所有権はますます少数の富裕な企業や億万長者の手に集中し、彼らが独自の編集方針でニュースを支配するようになった」という。

PR Dailyはこのネットワークの意義について、伝統的なメディアへの露出が唯一の手段ではない時代において、クリエイターや特定テーマに特化した発信者、そして直接チャンネルが広報の組み合わせに欠かせない要素になっていると論評している。同時に、クリエイターを従来メディアの信頼できる代替手段として機能させたいのであれば、報酬・情報へのアクセス・情報開示に関するルールを明確に設けなければ、新たな信頼問題を生み出すリスクがあるとも指摘している。

情報ソース一覧

ニューヨーク市SNSクリエイター広報戦略

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