AIが書いたコンテンツの「味のなさ」が広報の命取りになる

The 'Lack of Taste' in AI-Generated Content: A Threat to PR and Comms

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AIが書いたコンテンツの「味のなさ」が広報の命取りになる
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ポイント

  • Ragan CommunicationsはシスコAI責任者ロス・イーグル氏へのインタビューを報じた
  • 同氏はAI生成コンテンツ最大の欠点は「テイスト」と指摘
  • AIは効率化に優れるが、驚く出力なら再考すべきと助言

PR・コーポレートコミュニケーション専門メディアのRagan Communications(レイガン・コミュニケーションズ)は、シスコのグローバルコミュニケーション部門でAI導入を統括するオースティン・ロス・イーグル氏へのインタビュー記事を2026年5月6日公開の記事で報じた。記事は同メディアの記者アイシス・シンプソン=メルシャ氏が執筆したもので、AIが広報・コミュニケーション業務に与える影響と、AI生成コンテンツの根本的な問題点について詳しく伝えている。

ロス・イーグル氏は、ネットワーク機器・ITインフラ企業のシスコが社内に設置したAIアクセラレーションオフィスの責任者を務めている。同社のコラボレーションツールであるWebexを含むグローバルコミュニケーション部門全体のAI活用推進を担っており、シスコおよびVMware(仮想化ソフトウェア企業)でCEOコミュニケーション戦略を担当してきた経歴を持つという。

AIが唯一欠いているもの

ロス・イーグル氏がAI生成コンテンツの最大の問題として挙げたのは、「テイスト(センス・審美眼)の欠如」だという。「テクノロジーについて説得力のあるブログを書いてほしい」とAIに依頼すると、これまでに見たことがないほど質の低いブログが返ってくる、と同氏は率直に述べている。

一方でAIが本当に得意なことについては、ワークフローの効率化だとしている。「コンテンツのアイデアがあって、AからBへ到達する必要があるとき、小さなステップに分解された設計の良いワークフロー——プレイブックやプロンプトを通じて——は、求めているアウトプットをまさにその通りに生み出せる」とロス・イーグル氏は説明する。効率性の高さには今も驚かされるが、特にライティングにおけるテイストの欠如にはいまだ失望させられると同氏はいうと、記事は伝えている。

「AIスラップ」は読者に届かない

AIが生成する低品質・無個性なコンテンツを指す業界用語「AIスラップ(AI Slop)」についても、ロス・イーグル氏は明確な見解を示している。「声もテイストもないAI生成コンテンツは、一律に質が低い。そうしたコンテンツは至るところで見かけるようになった。多くはメディアに取り上げられない。あなたの声こそが最も重要な要素だ」と同氏は述べているという。

自分自身の声をAIの世界でどう定義するかについて、ロス・イーグル氏は「ツールを使って自分の声でコンテンツを作ることと、ツールに自分の声を置き換えさせることには大きな違いがある」と強調する。明確なアイデアと独自の視点——たとえアウトラインだけであっても——があれば、それを整形してブログにする作業は別のプロセスだという考え方だ。「AIはほぼフォーマット作業、空白を埋め、コンテンツを整えるものだ。独自の視点を持つのはあなたの仕事だ」と同氏は述べているとRagan Communicationsは伝えた。

「驚くようなら最初からやり直せ」

コンテンツの公開可否を判断するチェックリストについて聞かれたロス・イーグル氏は、「最後にチェックリストを用意するよりも、ワークフロー全体を小さく具体的なステップに分解する方が重要だ」と答えている。AIが登場する以前のコンテンツ制作には、情報収集、独自の切り口の特定、アウトラインの構築、下書き、編集という工程があったという。このように分解すれば、AIがどの工程で役に立ち、どこでは役立たないかが自然と見えてくるとしている。

さらに同氏は「AIのアウトプットに驚いたなら、ほぼプロセスをやり直すべきだ。驚くべきではない——ステップ1から最終ステップまで、あなたがモデルを導いているべきだ」と述べているという。つまり、最後だけ人間が確認するのではなく、全工程にわたって人間が関与し続けることが不可欠だとする考え方だ。

若手のコミュニケーション担当者に向けたアドバイスとしては、「最良の結果は、深い専門知識と高いAI活用力を兼ね備えた人から生まれる」と語っているという。AI活用力はあっても専門知識がなければ前進しづらく、専門知識があってもAIを使いこなせなければ同様に難しくなるとしている。モデルが持っていない、そして今後も持てないかもしれない「テイストと判断力」を備えつつ、AIから最大限のレバレッジを引き出す方法を学んだ人材が活躍するという見方をロス・イーグル氏は示した。

なお、ロス・イーグル氏のキャリアの出発点はVMwareのCEOオフィスで、最初の役職はCEOのSNS管理やダッシュボード・指標の管理といったデジタル・プログラムマネジメントだったという。「21歳の自分の話を役員が聞くはずはない——でも、データがあれば聞いてもらえる」という気づきが、コミュニケーションと分析の交差点を探るきっかけになったとしている。その後、2022年秋からビジネスアナリティクスの修士課程に進学。同時期にChatGPTが公開され、「AIの本格普及のスターターピストル」が鳴ったと同氏は表現しているという。

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