広告が使えない5兆円市場が示す「報道獲得」という成長戦略の必然性

US Cannabis: $38.5B Industry's Weak PR Infra & Structural Gaps Report

ソースに基づく報道記事 10件の情報源
広告が使えない5兆円市場が示す「報道獲得」という成長戦略の必然性
画像: 情報ソースより

ポイント

  • 米PR会社5WPRが「大麻広報格差」レポート公開
  • 385億ドル市場は広告規制で代替投資も不足している
  • 税制変更、4700万ドルの著名人格差が矛盾を示す

米国のPR・デジタルマーケティング会社5WPR(5W Public Relations)は、2026年4月22日公開のプレスリリースで報じた。米国の合法大麻市場における広報・マーケティングの構造的な課題を体系的にまとめた調査レポート「The Cannabis Communications Gap(大麻業界の広報格差)2026年版」を同日公開したという。

同レポートは、急成長する大麻産業が主要広告チャネルから締め出されているにもかかわらず、代替手段への投資が著しく不足しているという「構造的ミスマッチ」を記録することを目的としているとしている。レポートは5WPRの公式サイト(5wpr.com/research/cannabis-communications-gap)で登録不要・無料で公開されているという。

385億ドル市場に広告チャネルがない

市場調査会社Grand View Researchのデータを引用した同レポートによると、米国の合法大麻市場は2024年に385億ドル(約5兆8,000億円 ※1ドル150円換算)の売上高を記録したという。米国史上最速で成長した規制消費財カテゴリーだとしている。

にもかかわらず、大麻ブランドはGoogle、Facebook、Instagram、TikTok、YouTube、全国放送テレビ、全国放送ラジオのいずれにも広告を出稿できないという。これらの制限は州ごとの合法化状況に関わらず連邦政府の規制によって課されており、他の主要消費者ブランドが認知獲得や顧客獲得に使う主要な有料メディアチャネルがすべて利用不可の状態だとしている。

業界団体Cannabis Media Councilのデータとして同レポートが引用した数字によると、大麻ブランドの売上高に占めるマーケティング支出の比率は、一般消費財(CPG)業界の競合他社と比べて80%少ないという。さらにその限られた予算の配分も、規制のない報道獲得・SEO・自社コンテンツ・インフルエンサー戦略といったチャネルではなく、広告を出せない制限付きチャネルに偏っているとしている。

トランプ政権の大統領令が業界の経済を変える

同レポートが特に注目する変化として、トランプ大統領が2025年12月18日に署名した大統領令がある。この大統領令は司法省に対し、大麻の規制区分をスケジュールIからスケジュールIIIへの変更(リスケジューリング)を完了するよう指示するもので、過去50年以上で最も重大な連邦大麻政策の転換だという。最終規則の施行は2026年上半期が見込まれているとしている。

同レポートによると、このリスケジューリングは大麻を合法化するものではないものの、大麻業界を長年苦しめてきたIRS(米国内国歳入庁)の税務規定「Section 280E(セクション280E)」を撤廃する効果があるという。セクション280Eは大麻事業者に対して純利益ではなく総収入に基づく課税を義務付けており、利益を出している大麻事業者に実質的に70%以上の連邦税率を課していたとしている。

具体的な影響として同レポートは、メリーランド州の大麻小売業者がリスケジューリング後のセクション280E負担軽減により、店舗1件あたり平均年間80万5,000ドル(約1億2,000万円 ※1ドル150円換算)の税負担を削減できると試算している。広報コミュニケーション面での影響としては、マーケティング費用が初めて損金算入可能になること、機関投資家が大麻カテゴリーへの参入を検討し始めることで投資家向け広報が重要性を増すこと、そしてリスケジューリングのニュースサイクル自体が業界史上最大の報道獲得機会になると同レポートは指摘しているという。

著名人ブランドに4,700万ドルの格差

同レポートが引用したデータ分析会社Hoodie Analyticsの2024年販売データによると、ラッパーのウィズ・カリファが展開する大麻ブランド「Khalifa Kush」は2024年に5,000万ドル(約75億円 ※1ドル150円換算)の売上を記録したという。一方、同じくラッパーのスヌープ・ドッグが展開する「Death Row Cannabis」は200〜300万ドル(約3億〜4億5,000万円 ※同換算)にとどまり、著名人ブランドの中で20位にランクされたとしている。

米国文化における大麻の象徴的な人物として等しく知名度を持つ2人の間に、4,700万ドル(約70億円 ※同換算)もの販売格差が生じているという。同レポートはこの格差を「認知度の差ではなく、信頼性と広報戦略の差だ」と分析しているとしている。

また、インフルエンサー戦略に関連するリスクとして、米国連邦取引委員会(FTC)が2024年10月に施行した改訂版エンドースメントガイドラインについても同レポートは取り上げている。ブランドが確認していない投稿を含め、インフルエンサーのコンテンツに対してブランド側が責任を負う仕組みになっており、2025年時点での民事制裁金は違反1件あたり最大5万3,088ドル(約800万円 ※同換算)に達するという。

さらに、米プロバスケットボールリーグ(NBA)が2023年の労使協定(CBA)改定で大麻を禁止薬物リストから除外し、選手による大麻会社へのパッシブ投資とCBD製品のプロモーションを認めたことも同レポートは記録しているとしている。ただし現役選手によるTHC含有ブランドのプロモーションは引き続き禁止されているとも明記しているという。

情報ソース一覧

大麻産業広報戦略マーケティング米国市場

記事内容に関するお問い合わせ・フィードバックはこちらからお寄せください。