AI引用の74%は広報チャネル発、生成AI時代のブランド評判管理を誰が担うのか
Why PR Should Lead AI Strategy: US CCOs Share Insights on AI & Brand Reputation
ポイント
- PRWeekは広報部門がLLM戦略を主導すべきと報じた
- AIによる引用の最大74%が広報チャネル由来と判明
- CCOらは、LLM時代の評判形成にコンテンツ最適化が不可欠と指摘した
PR・コミュニケーション業界専門誌のPRWeekは、生成AIが企業のブランド評判形成にもたらす構造変化と、広報部門がLLM(大規模言語モデル)可視化戦略の主導権を担うべきだという議論を報じた。
記事は、メディアインテリジェンス企業のMeltwater(メルトウォーター)が主催した円卓討議の内容を伝えるもので、食品会社General Mills(ゼネラル・ミルズ)の最高コミュニケーション責任者(CCO)ジャノ・カブレラ氏、グローバル会計・コンサルティングファームEYのグローバルCCOジェン・コール氏、Capital One Autoのコミュニケーション責任者ステファニー・フリズウェル氏、チケット販売プラットフォームStubHub(スタブハブ)のコンシューマー・プロダクト・テックコミュニケーション責任者ジル・ゴンザレス氏、航空会社JetBlue(ジェットブルー)のCCOダグ・マクグロー氏、アウトドアブランドPatagonia(パタゴニア)のメディア・PRシニアマネージャーJ.J.ハギンス氏、Yahoo(ヤフー)グローバルVPのエリン・ミラー氏が参加したという。
AI引用元の74%は広報が管轄するチャネルから
円卓討議の中で、メルトウォーターのシニアエンタープライズアカウントエグゼクティブ、アリス・ホッグ氏は重要なデータを示した。「AIによる引用の最大74%は、伝統的に広報が主導するチャネルから来ている」と報告した上で、「LLM可視化戦略でブランドがどう対応するかの主導権を、広報部門が持つべきだという強い根拠がある」と述べたという。
生成AIを使ったチャットインターフェースが検索行動の代替となる中で、プレスリリースや有力メディアへの掲載がブランド評判を決定するという従来の図式は変わりつつあると、参加者たちは指摘した。代わりに、LLMが自動生成する要約文によって企業の評判がかたちづくられる時代が到来しているという。
General MillsのCCOカブレラ氏は、LLMを「影響を受ける対象」であるとともに「リアルタイムのフォーカスグループ」として活用していると明かした。「従来の世論調査では、85%の設問は答えを知った上で聞いている。価値があるのは残り15%の予想外の回答だ。LLMにも同じことが言える」と述べたという。
同社では、コンテンツフォーマットの最適化にも取り組んでいる。「長い文章ブロックではなく箇条書き、テキストの貼り付けではなく表、FAQやQ&A形式」を積極的に採用することで、LLMに解釈・引用されやすいコンテンツ構造を整えているという。また、LLMを使ってターゲットセグメントへの訴求テストも行っているとした。
広報チームが担う新たな「ナラティブ接点」の管理
Yahooのエリン・ミラー氏は、LLMが新たなオーディエンスとして浮上したことでLinkedInの運用戦略を抜本的に見直したと述べた。「多くの人が最初に自社ブランドと接触するのは、いまやそうしたチャネルを通じてだ。LLMがLinkedInのコンテンツを参照するため、ブランドチャンネルでYahooをどう発信するかを能動的に考える専任担当者を置いた」という。
JetBlueのCCOマクグロー氏は、企業が自社情報の信頼できる一次発信源として機能する重要性を強調した。「トップメディアへの掲載を超えて、自社について語る人々とどう関わるかを考え直す必要がある。以前は放置していた会話も、今は積極的に方向づけしようとしている」と語ったという。
Capital One Autoのフリズウェル氏は定期的なコンテンツ監査の意義を語った。「監査の仕組みを整え、自社の強みとギャップを特定することがLLMの変化に対応したコンテンツ最適化につながる」と述べたという。
コミュニティプラットフォームへの積極関与も加速
StubHubのゴンザレス氏は、AI時代の広報業務が他部門との連携を不可欠にしていると指摘した。「キャリアの中でこれほどソーシャルケアチームの発信内容や、カスタマーサービスのAIチャットボットの応答内容に関わったことはなかった」と述べたという。
PatagoniaのJ.J.ハギンス氏は、Redditなどのコミュニティプラットフォームへのコンテンツ関与についても言及した。「(AI対応という観点から)Redditでの活動を増やしたいという要望を社内で通す材料が、ようやく得られた」と述べたという。
一方、LexisNexis(レクシスネクシス)が公開した「AI in PR & Communications: 2026 Industry Report on GenAI, Risk & Governance」では、広報・コミュニケーション専門家の55%がすでにコンテンツ作成にAIを活用している一方、その仕組みを自信を持って説明できる専門家は少数にとどまるという実態が明らかにされている。同レポートはまた、締め切りのプレッシャーから承認を得ずにAIツールを使用している回答者が60%近くに上るという「シャドーAI」の蔓延も指摘しており、ガバナンス上の深刻な空白が生じているとしている。
情報ソース一覧
- コミュニケーションがAIを主導すべき理由 The case for comms to lead on AI www.prweek.com/article/1967454/case-comms-lead-ai
- PRとコミュニケーションにおけるAI:2026年業界レポート | LexisNexis UK AI in PR & Communications: 2026 Industry Report | LexisNexis UK www.lexisnexis.com
- PRとコミュニケーションにおけるAI:2026年業界レポート | LexisNexis US AI in PR & Communications: 2026 Industry Report | LexisNexis US www.lexisnexis.com
- AIのためのPRとコミュニケーション | The Colab PR & Comms for AI | The Colab www.colabcomms.co/industry/artificial-intelligence-pr-agency
- AIが批判的思考とROIに与える影響 | Jano Cabreraによる投稿 | LinkedIn AI Impact on Critical Thinking and ROI | Jano Cabrera posted on the topic | LinkedIn www.linkedin.com
- 企業のコミュニケーション部門はAIに追いつく途上にある。一部のリーダーがその道を示している。 Corporate Comms Is Playing Catch Up on AI. A Few Leaders Are Showing the Way. www.bcg.com
- AI、アーンドメディア、Cスイートの期待:グローバルコミュニケーションレポートウェビナーからのPRヒント | Cision AI, Earned Media and C-Suite Expectations: PR Tips from the Global Comms Report Webinar | Cision www.cision.com
- Everything-PRが初のAIコミュニケーション100を発表 Everything-PR Publishes First AI Communications 100 www.odwyerpr.com
- AI専門家がAIとPRに関する喫緊の質問に答える AI Experts Answer Burning AI PR Questions www.cision.com
- コーポレートアフェアーズおよびコミュニケーションにおける生成AIの導入 GenAI Adoption in Corporate Affairs and Communications www.bcg.com