生成AI活用率76%の米国PR業界が問いかけるガバナンス整備の遅れと日本への教訓

76% of PR Professionals Use AI, But Governance is Left Behind

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生成AI活用率76%の米国PR業界が問いかけるガバナンス整備の遅れと日本への教訓
画像: プレスリリースより

ポイント

  • 米国調査で広報担当者の76%が生成AIを活用し、有料ツールの利用も増加しています
  • 業務品質の向上を82%が実感する一方、ガバナンス整備は大幅に遅延
  • 誤情報拡散や情報漏洩リスクへの対応が追いつかない現状が課題です

米国のPR・コーポレートコミュニケーション専門メディアであるRagan Communications(1970年創業、シカゴ本社)は、PR・メディア・コミュニケーション業界の実態をまとめた年次レポート「PR, Media & Communications Industry Report」を2026年4月9日公開の記事で報じた。

同レポートの核心は、生成AIの活用が広報・コミュニケーション業務の「標準装備」となった一方で、AIが生成した情報の誤り(ハルシネーション)や情報漏洩リスクへの対応、いわゆるガバナンス(管理体制)の整備が普及スピードに大幅に遅れているという構造的課題だ。Ragan Communicationsは「生成AIを効果的に活用できているか、それともガバナンスの空白と誤情報リスクが組織の信頼性を脅かしているか」という問いを業界全体に突きつけている。

AI活用は「拡大期」から「成熟期」へ

今回のレポートが引用するデータの中心となっているのは、米国発のPR向けSaaSプラットフォームであるMuck Rack(ニューヨーク本社、従業員約500名)が2026年1月21日に発表した調査レポートだ。Muck Rackはジャーナリストデータベース管理・メディアモニタリング・PR成果測定を一括提供するツールとして知られており、毎年「State of AI in PR」レポートを発行して業界の標準データとして参照されている。

同調査によると、生成AIをワークフローに活用するPR専門家は全体の76%に達したという。この数値は前年からほぼ横ばいであり、Muck Rackはこれを「急拡大期を終え、成熟期に入った証拠」と分析しているという。とりわけ目を引くのが有料AIツールの利用率で、2024年の57%から2026年には75%へと18ポイント増加した。単に無料ツールを試すのではなく、コストを払って本格的に業務へ組み込む段階に移行したと同レポートは指摘している。

「品質向上」を実感しながら管理体制が追いつかない現実

Muck Rackの調査では、PR専門家の82%が「生成AIの活用によって業務品質が向上した」と回答したという。具体的な活用場面としては、プレスリリースのドラフト作成、記者へのアプローチメール(ピッチ)の文面生成、メディアリストの調査などが挙げられている。

しかしながら、同調査はガバナンス整備の遅れについても明確に警告している。AI活用が業務全体に浸透する一方で、「AIが生成した情報をそのまま使うことで誤情報を拡散してしまうリスク」「社内の機密情報をAIツールに入力することによる情報漏洩リスク」「AI生成コンテンツの著作権問題」への組織的対応が追いついていないという。「導入はしているが、ルールは決まっていない」という状態の組織が多数存在していると、Ragan Communicationsは報じている。

社内広報部門とPR代理店の活用格差が拡大

Muck Rackの調査では、生成AIの活用度において社内のコーポレートコミュニケーション部門とPR代理店(広報代理店)の間で明確な格差が生じていることも明らかになったという。

コンテンツ作成へのAI活用率はコーポレートコミュニケーション部門が42%であるのに対し、PR代理店は25%にとどまるという。プレスリリース作成に限定すると、コーポレートコミュニケーション部門31%に対してPR代理店は19%とのことだ。社内部門の方が特定の製品・サービスや業界知識を持ち、AIへの入力情報を精緻にコントロールしやすいことがこの格差の一因と、同調査は分析しているという。

また、世界最大級のPRソフトウェア・メディアインテリジェンス企業であるCision(米国本社、日本を含む世界170か国以上でサービスを展開)と英米を拠点とするPR業界専門誌PRWeekが共同で実施した2025年調査によると、67%の広報・コミュニケーション担当者が生成AIをコミュニケーション戦略に活用していると回答しているという。さらに、AIを積極的に活用している組織では、記者へのアプローチ(ピッチ)の成功率が最大40%改善したという事例も報告されている。

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広報AI活用ガバナンスリスク管理

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