AI導入で「3人に1人」が時短効果なし、広報の生産性革命が空回りする構造的理由

AI Adoption Fails to Reduce Workload for 1 in 3 PR Professionals

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AI導入で「3人に1人」が時短効果なし、広報の生産性革命が空回りする構造的理由
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ポイント

  • PR DailyはAIによる生産性革命が現実と異なると報じた
  • 約900人の広報担当者の32%が時短効果を実感せず
  • 時短できた約67%も半数がコンテンツ量産に費やし、戦略立案は3分の1だった

米国のPR・コミュニケーション業界専門メディア「PR Daily」(Ragan Communicationsが運営するオンラインニュースメディア)は、AIが広報担当者に約束した「生産性革命」が現実には想定通りに機能していないと2026年4月7日公開の記事で報じた。

同記事が紹介したのは、Ragan Communicationsが実施した「2026年コミュニケーション・ベンチマーク報告書」の調査結果だ。Ragan Communicationsは米国シカゴを拠点とするメディア・イベント企業で、PR・広報担当者向けの業界誌やカンファレンスを手がける米国PR業界の主要情報源である。この報告書は、社内・社外の広報業務に携わるコミュニケーション担当者約900人を対象に実施されたという。

3人に1人は時短効果ゼロ

調査結果が示す最も注目すべき数字は、AIによる時間削減効果を「実感していない」と回答した担当者の割合だ。全回答者のうち32%、すなわちおよそ3人に1人がAI活用によって業務時間の削減を実感していないと答えたという。

その理由についてPR Dailyは複数の可能性を挙げている。チームによる活用が限定的あるいは非効率であること、またAIが業務量を減らすのではなく、むしろ増大させるという産業横断的な報告があることだという。同記事は、米国経済誌「ハーバード・ビジネス・レビュー」の2026年2月の記事を引用する形で次のように説明している。「AIが知識のギャップを埋められるようになったことで、労働者はかつて他者が担っていた責任へと踏み込むようになった。プロダクトマネージャーやデザイナーがコードを書き始め、研究者がエンジニアリングの仕事を担い、組織全体の個人が、過去には外注・先送り・回避していた業務に挑戦し始めた」という。

さらに、AIシステムの学習やその出力の修正に費やす時間が増加していることも指摘されており、一部の作業を容易にしたとしても、必ずしも作業を速くしたり全体の業務量を減らしたりすることにはつながっていない実態が浮かび上がっているとした。

時短できても「戦略」より「量産」へ

一方で、AIによる時間削減を実感している担当者は全体の3分の2(約67%)に上るという。しかし、その使い道に課題が見えてきたとPR Dailyは報じている。

時間を節約できた担当者のうち、その時間の主な活用先として最も多く挙げられたのは「コンテンツをより多く作成する」ことで、約半数(49%)がそう答えたという。一方で、「戦略立案にあてた」と答えた担当者はおよそ3分の1にとどまったという。AI活用によって戦略業務に集中できるという期待が広く語られてきた中、実際には「量の増産」に向かっているという現実は、見逃された機会とも言えると同記事は指摘している。

「人を増やしたい」が43%

AIへの期待の限界は、予算の使い道に関する設問にも表れている。「コミュニケーション予算がさらにあればどう使うか」という問いに対し、43%の担当者が「人材をさらに採用する」と答えたという。AIによる効率化が進んでいるにもかかわらず、人間の思考と実動力への需要は依然として根強いことを示している。

また、「AIのさらなる研修に投資する」と答えた担当者は21%、「新しいAIツールを導入したい」と答えた担当者は13%にとどまった。AI技術そのものへの追加投資意欲は決して高くない実態が浮き彫りになっている。なお、AIを理由に人員削減を行ったと報告した担当者はわずか5%であり、PR Dailyはこの状況を「チームをより戦略的な業務に再配置する好機」と捉えられる余地があると指摘した。

さらに、回答者の55%は「AIとテクノロジースキルは自身のキャリアを将来にわたって守るために不可欠だ」と考えていることも判明したという。AIの即効性への疑問を持ちながらも、長期的な必要性は認識されているという複雑な状況が、この調査から読み取れる。

なお、今回公開されたデータは速報版であり、報告書の完全版エグゼクティブサマリーは、Ragan Communicationsが2026年4月21日から23日にかけて米国ボストンで開催する「従業員コミュニケーション&カルチャー・カンファレンス」にて公開される予定だという。

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