報道量が20倍でも売上で逆転される時代に、広報と業績の分離をどう読むか
AI Industry's PR Gap: Unknown Players Overtake Leaders in Revenue - Survey
ポイント
- 5WPRの調査でAI企業15社の広報戦略を初評価
- Anthropicの年換算売上300億ドルがOpenAIを逆転した
- 認知度で劣るAnthropicが売上優位で「広報格差」が鮮明に
米国のPR会社5WPRは2026年5月28日、「AI Company Comms Study 2026」をプレスリリースにて発表した。同社によると、これは主要AI企業15社の広報・コミュニケーション戦略を初めて体系的にベンチマーク評価した調査だという。調査は「Everything-PR」との共同で実施され、レポートはeverything-pr.com/ai-company-comms-study-2026で公開されている。
売上でAnthropicがOpenAIを逆転
調査によると、AIアシスタント「Claude」を開発・提供するAnthropicの年換算売上高は、2026年4月時点で約300億ドルに達したという。一方、ChatGPTを展開するOpenAIの年換算売上高は2026年2月時点で約250億ドルとされており、Anthropicがこれを上回る形となった。
注目すべきは、消費者向けのユーザー規模では、OpenAIがAnthropicの約20倍の規模を持つとされている点だ。また、メディア露出の量においても、OpenAIが「数倍」上回るという。つまり、報道量でも認知度でもOpenAIが圧倒しているにもかかわらず、売上規模ではAnthropicが逆転を果たしたという構図が調査で示された。5WPRはこの状況を「売上規模と広報規模の分離(構造的デカップリング)」と表現している。
15社の「情報開示格差」が際立つ
調査が評価対象としたのは、OpenAI、Anthropic、xAI、Google DeepMind/Gemini、Microsoft AI/Copilot、Meta AI、Perplexity、Mistral、Cohere、Character AI、Stability AI、Runway、Midjourney、Inflection AI、Hugging Faceの15社。評価軸は「実装メッセージング」「利用状況・導入状況の開示」「創業者の発言姿勢」の3次元だという。
調査の最大の発見の一つとして挙げられているのが、企業間の情報開示量の非対称性だ。5WPRによると、15社のうち週次または月次の具体的なユーザー数、売上、法人顧客数を定期的に開示しているのは、おおよそ3分の1のみだという。残りの企業は集計値の公表にとどまっているか、資金調達ラウンドに合わせた散発的な開示しか行っていないか、あるいは体系的な情報開示を一切していないとされる。
世界的なブランド認知を持つ画像生成AIのMidjourneyについても、売上・月次アクティブユーザー数・法人顧客数のいずれも実質的に公開していないと調査は指摘している。Character AI、Stability AI、Inflection AI、Mistralの4社も、その規模に比して情報開示の頻度が著しく低いとされる。
「声の大きさ」が好感度に逆作用
5社からなる「創業者ボイス」の指標でも特徴的な結果が示された。最も多くのメディア露出を獲得したAI系創業者として名が挙がるイーロン・マスク氏について、Morning Consultの追跡調査(2025年6月時点)では、好感度が37%、不支持が55%と、同氏の調査履歴の中で最も低い数値を記録したという。
5WPRはこの結果を踏まえ、「米国ビジネス界の他あらゆるセクターでは、露出量の増加は好感度の上昇と正の相関関係にある。AIでは、その相関が崩壊している」と分析している。
法人導入の状況についても具体的な数値が示されている。AnthropicはFortune 10(米国売上高上位10社)のうち8社を顧客として開示しているという。OpenAIはFortune 500企業の92%に導入されているとされ、Microsoft Copilotは4億人超のMicrosoft 365ユーザー基盤の中で1500万の有料シートを獲得済みだという。
5WPRの創業者であるロン・トロッシャン氏は、プレスリリースの中でこう述べている。「AI業界は、米国の主要テクノロジーセクターの中で最も誇大宣伝されながら、最もベンチマーク評価が不足している。今日AIを購買する全てのCIO、CMO、企業取締役会は、非対称な情報のもとで意思決定を行っている。誰かがこれを解決しなければならなかった——それがこの調査を作った理由だ」と。
なお5WPRは、本調査を四半期ごとに改訂版を発行する予定としており、今後は法人AI購買者への直接調査、AI投資家センチメント、オープンソースAI・垂直特化型AIの分析拡大、国際AI市場への調査範囲拡大も実施するとしている。
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情報ソース一覧
- OpenAIとAnthropicがAI収益を支配――そしてコミュニケーションの取り方が大きく異なる OpenAI and Anthropic Dominate AI Revenue -- and Communicate Very Differently www.prnewswire.com
- AnthropicがOpenAIを収益で追い抜き、年間300億ドルの達成率に Anthropic Overtakes OpenAI in Revenue, Hitting $30 Billion Run Rate www.trendingtopics.eu
- OpenAI対Anthropicの統計:企業分析、機能、製品、収益、ビジネスモデル、提携・コラボレーション、ユースケース、トレンドと事実2026 OpenAI Vs. Anthropic Statistics By Company Analysis, Features, Products, Revenue, Business Model, Partnership And Collaborations, Use Cases, Trends and Facts 2026 electroiq.com/stats/openai-vs-anthropic-statistics/
- AnthropicはOpenAIに追いつかないかもしれない。しかし、すでに40%の規模に。 Anthropic May Never Catch OpenAI. But It’s Already 40% as Big. www.saastr.com/anthropic-may-never-catch-openai-but-its-already-40-as-big/
- Anthropicが現在、年間換算収益でOpenAIをリード Anthropic Now Leads OpenAI in Annualized Revenue www.youtube.com/watch
- OpenAIとAnthropicは実際どれくらいの収益を上げているのか? How Much Money Do OpenAI And Anthropic Actually Make? www.wheresyoured.at/howmuchmoney/