炎上は予兆で止められる――広報担当者が危機「前」に関与すべき4つの理由
Preventing PR Crises: 4 Proactive Habits for Communication Professionals
ポイント
- PR Dailyは2026年6月9日、広報担当者が取るべき4つの危機予防行動を報道した
- テンプル大学教授はワクチン接種のような予防の重要性を強調
- 兆候発見、意思決定前関与、評判、AIリスク対応を提唱
広報・コミュニケーション業界の専門メディア「PR Daily」は、問題が危機に発展する前に広報担当者が取るべき4つの行動を2026年6月9日公開の記事で報じた。記事は、テンプル大学クライン・メディアコミュニケーション学部でPR実務教授(Professor of Practice)を務めるグレッグ・ファイストマン氏の知見をもとに構成されている。
ファイストマン氏は、危機対応は炎上が始まってからではなく、問題が起きる前から考えておくべきだと主張する。同氏はこの考え方を健康管理になぞらえ、「ワクチン接種のように、予防措置を取ることだ。運動し、タバコを吸わず、食事に気をつける。それが病気に対して体を守ることになる」と述べたという。
兆候は「炎上前」に必ず出る
ファイストマン氏がまず挙げるのは、警告サインの早期発見だ。繰り返されるカスタマークレーム、人員削減やAI導入後の社員の不満、キャンペーンへの初期批判、複数の記者から同じ質問が来るといったパターンがそれにあたるという。
「ほとんどの危機は、来ることが見えている」とファイストマン氏は言う。「一夜にして爆発するわけではない。時間をかけて積み上がっていく。対処法を理解していれば、危機になる前に防ぐことができる」と述べたという。兆候を早期に捉えることで、組織のリーダーには説明・軌道修正・行動のための時間が生まれると指摘している。
意思決定の「前」に広報が入る
2つ目は、重要な意思決定が公表される前の段階から広報担当者を議論に参加させることだ。批判が起きてから、あるいは問題の予兆が見えてから呼ばれるのでは遅い、とファイストマン氏は言う。
広報担当者が事前に関与することで、リーダーが気づいていないリスクを早い段階で浮かび上がらせることができるという。具体的には「何を誤解される可能性があるか」「誰が疎外されたり傷ついたりするか」「自社の価値観と一致しているか」「メッセージを裏付ける根拠はあるか」といった問いを投げかける役割だとしている。
「広報担当者の仕事は、すべてを止めることでも、すべてを遅らせることでもない。リーダーが次に何が起きうるかを見通せるよう助けることだ」とファイストマン氏は語ったという。
平時の行動が危機時の信頼を左右する
3つ目は、日々の組織行動によって積み上げられる評判の重要性だ。危機対応計画は、何か問題が起きたときだけ開くファイルに収めておくものであってはならない、とファイストマン氏は主張する。「評判は、自分が自社について何を言うかではなく、他者が自社について何を言うかで決まる」と述べたという。
顧客サービスの質、社員への対応、製品の品質、取引先との関係、そして悪いニュースへの対処の仕方——これらすべてが日常的に評判を形成するという。「人材が最重要資産だと言うなら、そのことを行動で証明しなければならない」とファイストマン氏は強調した。
一方、強固な評判は、問題が起きた際の回復力を高めるとも述べている。人々はビジネスにおける問題の発生自体は理解できる。重要なのは、組織がどう対応するかだという。
AIは新たな危機リスクになりうる
4つ目は、AIを危機リスクの一つとして位置づけることだ。AI導入は急速に進んでいるが、多くの組織は「どうAIを使うか」には注力している一方、「なぜ使うのか」「どこに限界を設けるべきか」を問えていないとファイストマン氏は指摘する。
「その戦略的な思考はどこにあるのか。なぜそれをしているのか。AIを使うことでどんなリスクを減らそうとしているのか」と同氏は問うという。コンテンツ生成、業務フローの変更、雇用削減、実際の人間に影響する意思決定においてAIを使う場合、ルールと人間による審査がなければ新たな問題を生み出しかねないとしている。
「注意しなければ、人間の監督者がいなければ、AIはあっという間にトラブルの元になる」とファイストマン氏は述べた。AIを活用しながらも、「このコンテンツは正確か」「公平か」「AI使用を開示すべきか」「誰が確認したか」「この判断は自社の価値観と一致しているか」という問いを持ち続けることが、危機予防において人間の判断をより重要なものにすると同氏は結論づけているという。
情報ソース一覧
- コミュニケーターが問題が危機になるのを防ぐ4つの方法 - PR Daily 4 ways communicators can keep an issue from becoming a crisis - PR Daily www.prdaily.com
- なぜ危機的状況においてコミュニケーションスキルが重要なのか Why Communication Skills Matter In Crisis Situations ideatraining.org
- 効果的な危機コミュニケーション戦略を策定する方法 How to Develop an Effective Crisis Communication Strategy www.park.edu
- 危機におけるコミュニケーション:何を、いつ、どのように Communicating in a Crisis: What, When, and How www.ccl.org
- マルチチャネルメッセージングのための5つの効果的な危機コミュニケーションのヒント 5 Effective Crisis Communication Tips For Multi-Channel Messaging www.snapcomms.com/blog/effective-crisis-communication-tips
- 混沌から明確さへ:危機コミュニケーションを適切に行うための10の実践的なヒント From Chaos to Clarity: 10 Practical Tips for Getting Crisis Communication Right mha-it.com/blog/crisis-communication-tips-business-continuity
- 危機コミュニケーションメッセージングのベストプラクティス Crisis Communications Messaging Best Practices www.youtube.com/watch
- 9つの危機コミュニケーション戦略:危機計画を策定する方法 9 Crisis Communication Strategies: How to Develop a Crisis Plan www.albany.edu