著名人を無断でAIクローン化した文章ツールの炎上が問う、専門家模倣の法的リスク

AI Writing Tool's Scandal: Unauthorized Celebrity Clones & Legal Risks of Expert Imitation

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著名人を無断でAIクローン化した文章ツールの炎上が問う、専門家模倣の法的リスク
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ポイント

  • AI文章校正ツールGrammarlyが、著名人を無断でAIクローン化する機能を導入しました
  • これにより500万ドル超の集団訴訟に発展し、機能は停止されました
  • CEOは被害者の前で謝罪し、今後は専門家が同意するモデルへの移行を計画しています

米国のPR・広報業界専門メディア「PR Daily(PRデイリー)」は、AI文章校正ツール大手Grammarly(グラマリー)のCEOが物議を醸すインタビューに応じたと2026年3月25日公開の記事で報じた。

グラマリーは米国サンフランシスコを拠点とするAI文章校正・ライティング支援ツールで、世界3,000万人以上のユーザーを持つ商用SaaSサービスだ。同社は2025年8月、月額12ドル(約1,800円 ※1ドル150円換算)を支払うユーザーが、著名なジャーナリストや作家のAIによる模倣フィードバックを受けられる「Expert Review(エキスパート・レビュー)」機能を導入した。ところが、この機能はAIクローン化の対象となった人物の同意を一切得ずに開始されたものだったという。

同意なしで著名人をAIクローン化

PR Dailyの報道によると、無断でAIクローン化された対象者の範囲は広範にわたった。世界的ベストセラー作家のスティーブン・キング、著名天体物理学者のニール・ドグラース・タイソン、故カール・セーガンといった著名人に加え、主要メディアの編集者や大学研究者など多数の人物が、本人の知らないうちに商業サービスの「AIペルソナ」として利用されていたという。

この問題はその後、500万ドル(約7億5,000万円 ※1ドル150円換算)超の集団訴訟に発展した。原告代表には米国の著名調査報道ジャーナリストのジュリア・アングウィン氏が名を連ねており、ニューヨーク州およびカリフォルニア州法では商業目的で他者の氏名を使用する際に本人の同意が必要と定められていることが、法的争点の核心となっていると伝えられている。グラマリーはその後、同機能を謝罪のうえ停止した。

被害者本人がCEOにインタビューするという皮肉

今回さらに注目を集めたのは、CEOが謝罪・釈明に臨んだ場そのものだという。グラマリーのCEOが出演したのは、米国テクノロジー専門ニュースメディアThe Verge(ザ・バージ)が制作するポッドキャスト番組「Decoder(デコーダー)」だった。この番組の司会者であるニレイ・パテル編集長自身が、問題のExpert Review機能によってAIクローン化された被害者の一人であったとPR Dailyは伝えている。加害企業のトップが被害者本人のマイクの前で釈明するという、業界関係者の間で広く話題になった構図だったという。

CEOが「本質的に最悪だった」と公言

PR Dailyの報道によると、グラマリーのCEOはポッドキャスト内で「機能自体が良くなかった(essentially terrible)」と自ら公言したとされている。さらに、問題が発覚する以前、自身はこの機能を実際に使用・検証していなかったことも認めたという。

同社は今後の方針として、無断模倣から転換し、専門家が自ら同意のうえでAIペルソナを構築・収益化できる新モデルへの移行を計画していると報じられている。ただし、パテル編集長はインタビューの中で、GoogleのGeminiなど他のAIチャットボットも類似の行為を行っていることを指摘しており、問題がグラマリー一社にとどまらない業界全体の慣行に及んでいるとの見方も示したという。

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AI法的リスク無断利用企業倫理

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