スポーツの名門校が挑んだブランド刷新、広報の役割は「発信者」から「物語の発掘者」へ

Beyond Football's Shadow: Ohio State University Hospital's 'Newsroom-Style' PR Strategy

ソースに基づく報道記事 9件の情報源

ポイント

  • PR Dailyはオハイオ州立大の広報戦略を報じた
  • フットボール以外の学術・医療認知に課題があった
  • スキップ氏がブランド刷新を指揮、2026年5月21日の記事

PR・コミュニケーション専門メディアの「PR Daily」は、オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターの元最高コミュニケーション・マーケティング責任者が取り組んだブランド刷新の手法について、2026年5月21日公開の記事で報じた。

フットボールの陰に隠れた課題

アメリカンフットボールの強豪チーム「バックアイズ」で知られるオハイオ州立大学(The Ohio State University)は、そのスポーツブランドとしての知名度が突出しているがゆえに、学術研究や先進医療といった大学の別の側面が世間に認知されにくいという課題を抱えていた。

この課題に正面から取り組んだのが、スキップ・ヒドレイ氏だ。ヒドレイ氏は、オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターの元最高コミュニケーション・マーケティング責任者であり、現在はW. Clair Communicationsのマネージング・プリンシパルを務めているという。ヒドレイ氏は当時、同医療センターのウェブサイト群のブランド刷新を指揮する立場にあり、「オハイオ州立の名前をフットボール以外でも認知されるものにする」という明確なミッションを課せられていたと同記事は伝えている。

「オハイオ州立のマスターブランドを、フットボール以外でも認知・評価されるようにするにはどうすればいいか、という問いが最大の課題だった」とヒドレイ氏はPR Dailyに語ったという。「目標は、オハイオ州立が科学研究、高度な臨床医療、教育においてもリーダーであることを人々に理解してもらうよう、ブランドの次元を広げることだった。ストーリーテリングが、その認識を変えるための主要な手段の一つになった」と述べたとしている。

朝のランニングで生まれたアイデア

複数の部門にまたがる医療システムをひとつの一貫したブランドで語ることは容易ではなかった。各部門がそれぞれの優先事項を持ち、ウェブサイトも分断された状態にあったためだ。しかし解決策は、意外な場所で生まれたとヒドレイ氏は明かしている。

「朝のランニング中に思いついたのだが、それらのウェブサイトを政治的・運用的に統合しようとするのをやめて、その上位に立つストーリーテリング専用のウェブサイトを作ればいいのではないかと気づいた」とヒドレイ氏は語ったという。「そのサイトは既存のサイトを置き換えるのではなく、それらと連携しながら、ブランド構築・ブランド評判・オーディエンスエンゲージメントに特化した一元的なストーリーテリングエンジンとして機能させる」という構想だったとしている。

このアイデアの核心は、既存の各部門サイトはそのままに、それらを束ねる「物語の司令塔」を新たに設けるという発想だ。組織のしがらみを回避しながら、ブランドの統一したストーリーを外部に届ける仕組みを生み出したことになる。

記者を雇う感覚で広報チームを運営する

ヒドレイ氏が実践したもう一つの柱が、広報チームの「編集部化」だ。同氏は、担当者が上層部から指示が降りてくるのを待つのではなく、自ら取材に動く体制を構築したという。

「ライター、編集者、ストーリーテラーを揃え、その仕事は魅力的なストーリーを自ら発掘して、オーディエンスが本当に関心を持てる形で伝えることだった」とヒドレイ氏はPR Dailyに述べたという。「文字通り、医療ブランドのニュースルームを運営しているようなものだった。研究の優先課題や臨床医療の優先課題を見ながら、『ここにどんなストーリーがあるか』を問い続けた」としている。

具体的には、各分野の優先事項と結びついた医師、研究者、患者を特定し、実際に取材を重ねてコンテンツを生み出していったという。「私たちのライターは、ジャーナリストと同じようにインタビューし、アイデアを発展させ、ストーリーを組み上げていた」とヒドレイ氏は説明したとしている。

コンテンツの内容も特徴的だ。単なる機関広報的なお知らせを配信するのではなく、米国の高品質雑誌「ニューヨーカー」を意識した長文プロファイル記事を積極的に公開したという。1本あたり1,200〜1,600語(日本語換算で約2,400〜3,200文字相当)という長文に、大量の写真や動画、没入感のある要素を組み合わせたとしている。医師、研究者、革新的な患者ケアの事例などを丁寧に掘り下げる姿勢は、「オーディエンスは本当に魅力的で深く人間的なストーリーなら、時間をかけて読む」という確信に基づいていたとヒドレイ氏は語ったという。

さらにヒドレイ氏は、組織内部の人物を取り上げる際のポイントとして次の4点を挙げている。舞台裏で難題を解決している社員、測定可能な成果をもたらした部門横断的な協業、日常業務の中に会社の価値観が体現されている場面、そして複雑な業務を人間的なストーリーとして語れる専門家——これらが「人を前面に出す」コンテンツの有力な素材になるとしている。

ヒドレイ氏は最後に、広報担当者全般に向けたアドバイスも残している。「すべての組織には素晴らしいストーリーがある。ただしそれを見つけるには、伝統的な記者・ライターとして動く必要がある。誰かが『プレスリリースが必要だ』と言ってくるのを待つな。自分の好奇心と起業家精神を使って、自分自身がSNSのフィードで読みたいと思えるストーリーを探しに行け」と述べたとしている。なお、ヒドレイ氏はこれらの知見を、PR専門教育プログラムを提供するRaganが2026年6月に開催するブランドストーリーテリング認定コースで共有する予定だという。

情報ソース一覧

広報ブランド戦略大学病院ニュースルーム型広報

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