社内スローガンを「体験」に変えた広報担当者が果たした3部門つなぐ翻訳者の役割

Don't Just Be Corporate Wallpaper: LHH's Internal Comms Turns EVP into Employee Experience

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社内スローガンを「体験」に変えた広報担当者が果たした3部門つなぐ翻訳者の役割
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ポイント

  • 人材ソリューション企業LHHは新しい従業員価値提案(EVP)を策定しました
  • 社内広報はこれを単なるスローガンではなく体験に変えました
  • 結果、タウンホール参加率90%以上、エンゲージメント指標は20%以上上昇しました

企業広報・コミュニケーション専門の米メディアRagan Communicationsは、2026年6月10日公開の記事で、人材ソリューション企業LHHの社内広報戦略を報じた。同記事はLHHグローバル社内コミュニケーション担当ディレクターのトニー・キール(Tony Kihl)氏へのインタビューを中心に構成されており、同氏が8月に開催されるRagan主催の従業員体験カンファレンスで登壇予定であることも合わせて伝えている。

EVPを「言葉」ではなく「体験」として設計

LHHは「美しい働く世界をつくる(a beautiful working world)」という新しい従業員価値提案(EVP)を策定した。EVPとは、企業が従業員に提供する価値の集合体を言語化したもので、採用ブランドや社内文化の核となる概念だ。同社のキール氏は、このEVPを外部向けのマーケティングメッセージだけにとどめず、従業員が日常業務の中で実際に体感できるものにすることに課題意識を持っていたという。

「単なる企業の壁紙にはしたくなかった。本物で、人間らしいものに感じてほしかった」とキール氏は述べたと同記事は伝えている。「企業の壁紙(corporate wallpaper)」とは、社内に掲示されたスローガンやイントラネット上のメッセージが実際の職場体験と乖離し、形骸化した状態を指す業界用語だ。

キール氏によると、LHHはEVPを単発のコミュニケーション施策としてではなく、キャンペーンとして位置づけたという。具体的には、リーダーシップ、キャリア開発、入社オンボーディング、表彰・認定、上司との1対1面談、従業員ジャーニー全体とEVPを紐づけることを目指したと述べている。「コミュニケーションの取り組みだけで済ませることはできなかった。誰かが組織に加わった瞬間から、そのすべての節目において体験に組み込まれなければならなかった」とキール氏は語ったという。

60カ国の声を集めたリスニングプロセス

EVP策定の出発点は、従業員の声を聴くことだったとキール氏は説明している。LHHは60カ国の従業員を対象に、サーベイとラウンドテーブル(円卓形式の座談会)を実施した。英語のセッションだけでなく、各国語に翻訳したローカライズ版セッションも設けることで、異なる国・異なる職種の社員から幅広く声を集めたという。

このリスニングプロセスの目的は3点だったとキール氏は述べている。すなわち、従業員がすでにLHHに対して価値を感じている点を把握すること、ギャップを特定すること、そしてEVPが「目標として掲げられたもの」ではなく「本物らしいもの」として受け止められるための条件を理解することだったという。さらに、このプロセス自体が社内での賛同(buy-in)獲得にも寄与したと同氏は指摘している。「自分たちの声が方向性を形成したと感じられれば、組織全体での賛同を得るのがはるかに容易になる」と語ったと記事は伝えている。

社内各部門をつなぐ「翻訳者」としての社内広報

EVPを実体験として根付かせるため、社内広報チームは人事部門、ITおよびデジタルチーム、経営層の3方向と連携したとキール氏は説明している。人事部門とはオンボーディング、キャリア成長、表彰、エンゲージメント、マネージャーの能力開発といった面で協働した。ITおよびデジタルチームとは、「Beautiful Working World Hub」と名付けた社内専用ポータルサイトの構築を進めた。このハブは、キャリア成長の事例、各国の社員の声、社員をつなぐストーリーを一か所に集める場として機能しているという。

経営層への対応では、リーダーが「変化の時期にリーダーシップへの支援が十分でない」という問題意識のもと、具体的なトーキングポイントや「カスケードデッキ」(情報をチームに展開するための資料)を用意したとキール氏は述べている。「こう伝えよ、こう問いかけよ、こんな反応に耳を傾けよ、こう行動せよ」という形式で設計し、リーダーが自チームで有機的な対話を生み出せるよう工夫したという。

チャネル設計においても「メールを1本送って終わり」というアプローチを意図的に避けたとキール氏は語っている。グローバルタウンホールでの全社共有の場、リーダー動画、コミュニティ形成を目的としたViva Engageを活用したソーシャルインタラクション(カウントダウン企画や社員動画企画を含む)、イントラネット上のキャリアストーリー、そしてBeautiful Working World Hub上での継続的なコンテンツ配信(動画、ポッドキャスト、Teamsの壁紙素材まで含む)を組み合わせたと説明している。

タウンホール参加率90〜100%、エンゲージメント指標は20〜30%上昇

施策の成果について、キール氏はコミュニケーション指標と人材指標の両面から説明している。コミュニケーション側では、タウンホールへの参加率が通常の50〜60%から、このEVPローンチに際しては90〜100%に達したと述べている。加えて、イントラネットのエンゲージメント、Viva Engageのトラフィックと活動量、動画の視聴回数なども測定対象としたという。

人材指標の面では、エンゲージメントサーベイを継続的にモニタリングし、「LHHで働くことに以前より満足しているか」「LHHを推薦する意向があるか」「自分のキャリアがここで続くとイメージできるか」という3点を追跡したという。「場合によっては、そうした数値が20〜30%高く動いた」とキール氏は述べたと記事は伝えている。

情報ソース一覧

社内広報EVP従業員体験コミュニケーション戦略

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