記者1万7000人が去った米国から学ぶ「媒体名リスト」依存の報道獲得が崩壊する日

US Media Layoffs Force PR to Redefine Tier-1 Media and Lists

ソースに基づく報道記事 10件の情報源

ポイント

  • 米メディアは2025年に1万7,000件超の雇用を失う
  • 多数の記者が独立し、新たな影響力を持つようになった
  • PRのティア1メディア定義は変わり、オーディエンス調査が重要だ

米国のPR・広報コミュニケーション専門メディア「Ragan」は、メディアリストの評価基準を根本的に見直す必要性を論じた寄稿記事を2026年6月16日公開の記事で報じた。執筆者は、PR・コミュニケーション専門エージェンシーのThe ColabでシニアPRディレクターを務めるケイト・ドミトレンコ氏だ。

大手メディアで相次ぐ大規模な人員削減

同記事によると、米国のメディア・エンタメ業界では2025年に1万7,000件超の雇用が失われ、2024年比で18%増加したという。この数字はエンタメ・メディア業界専門ニュースサイトのThe Wrapが報じたものだ。

ジャーナリズム職に限定しても、英国を拠点とするジャーナリズム・メディア業界専門誌のPress Gazetteは、2025年に米国と英国で3,434件の職が失われたと追跡・報告しているという。個別の事例を見ると、CNNが2025年1月に約200人を削減し、ワシントン・ポストも同月に約100人を削減した。さらにワシントン・ポストは2026年初頭に編集局全体の3分の1にあたる300人超を追加削減したとしている。ロサンゼルス・タイムズは2024年に20%の人員削減を実施したあと、2025年半ばにさらに6%を削減したという。

記者たちは「独立」し、読者を連れていった

一方で記事は、縮小する大手メディアとは対照的な動きも起きていると指摘している。職を失った記者の多くは取材分野を捨てず、情報源と読者を携えたまま独立したというのだ。

その象徴として記事が挙げるのが、ニュースレター配信サービスのSubstackだ。ニュース・政治分野で年収100万ドル(約1億5,000万円 ※1ドル150円換算)超を稼ぐSubstack書き手の層は、過去1年で2倍に膨らんだという。著名なジャーナリストのデレク・トンプソン氏は17年間在籍したThe Atlanticを離れ、Substack上で独自の媒体を立ち上げた。こうした動きが積み重なり、Substackは本格的なビート取材(特定分野を専門に追う報道)の有力な舞台となっているとドミトレンコ氏は述べている。

「ティア1」の定義が問われている

この二重構造がPR実務に直接影響を与えているのが、「ティア1メディア」の概念だ。これはPRの世界で長年使われてきた言葉で、知名度と影響力が高いとされる最上位の媒体を指す。

記事によると、ティア1の従来の定義はリーチ(到達数)とブランド認知を示す略語にすぎなかったという。しかし今やその略語はかつてほど確かな指針ではなくなったとしている。

記事はこう指摘する。元業界誌編集者が書く独立ニュースレターの読者が1万5,000人であっても、そのすべてが特定のクライアントにとって最適な購買担当者・投資家・意思決定者だとすれば、10倍の発行部数を持ちながらエンゲージメントが低い老舗媒体よりも、実質的な影響力は上回るという。現在ティア1として機能しうる媒体の範囲には、ジャーナリストが運営するニュースレター、ニッチなポッドキャスト、大手媒体を離れた記者が立ち上げた独立メディアも含まれるとしている。

こうした変化を踏まえてドミトレンコ氏が提唱するのが、メディアリスト構築の前段階に「オーディエンス調査」を置くアプローチだ。クライアントが手がける分野のキーワードで検索を行い、LinkedInで購買担当者が共有・引用しているコンテンツを確認し、営業担当者に顧客の読み物を聞くなど、複数の切り口から情報収集源を地図として描き直すべきだという。メディアデータベースの検索はあくまで最初の一歩にすぎないと強調している。

媒体の評価においても、記事はより具体的な指標を重視するよう促している。その記者の報道が他の記者に引用されているか、業界内の議論で言及されているか、そしてクライアントの購買担当者が実際に使っているAI検索で表示されるかどうか(いわゆるGEO=生成AIエンジン最適化への対応)が、リーチの実質を測る問いとして挙げられている。

記者への売り込みの基本は変わらないともドミトレンコ氏は述べている。担当領域を把握し、最近の記事を読み、角度を理解し、個別に接点を見つける。それはビート記者が相手でも独立ニュースレターの書き手が相手でも同じだという。変わるのはリストに誰を載せるかだとしている。

情報ソース一覧

PRメディアティア1メディアメディアリスト

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