世界最大級のPR会社売却検討が示す、グローバル広報市場の構造転換

WPP Considers Selling Burson PR Firm Amid Strategic Overhaul and Weak Performance

ソースに基づく報道記事 5件の情報源
世界最大級のPR会社売却検討が示す、グローバル広報市場の構造転換
画像: 情報ソースより

ポイント

  • WPPが年間売上1372億円のPR会社バーソンの売却を検討
  • 業績低迷を受け、「選択と集中」戦略を加速する動きだ
  • 世界の広報・PR業界に再編の波が押し寄せている

英国の有力紙タイムズは、世界最大級の広告・コミュニケーション持株会社WPP(英国ロンドン本社、世界112カ国以上で事業展開)が、傘下の総合PR会社バーソン(Burson)の売却に向けて財務アドバイザーを起用したと2026年4月10日公開の記事で報じた。タイムズの報道を受け、PR業界専門メディアのPR Weekなど複数のメディアが一斉に後追い報道を行っており、世界の広報・PR業界に大きな衝撃が走っている。

バーソンの売却が実現すれば、WPPにとってPR資産の大規模売却は2023年以来2度目となる。WPPはすでに2023年、危機管理・財務コミュニケーションを専門とするPR会社FGSグローバル(FGS Global)の株式を、米国ニューヨーク本社の大手プライベートエクイティ(PE)投資ファンドKKRに売却している。今回の動きは、同社が掲げる「非中核資産の整理」戦略の延長線上にある。

バーソンは、WPPが2024年1月に旧来のPRネットワークであるBCW(バーソン・コーン&ウルフ)と、1927年創業の老舗グローバルPR会社ヒル&ノウルトン(Hill & Knowlton)を統合して誕生した巨大PR会社だという。年間収益は約9億1500万ドル(約1372億円 ※1ドル150円換算)に達し、世界屈指の規模を誇る総合PRエージェンシーである。

しかし、その業績は低迷が続いているという。PR Weekなどの報道によると、バーソンの2024年の年間収益は前年比5%減を記録した。さらに2025年も中一桁台(約5〜6%)の下落が続いており、統合効果が十分に発揮されていない状況が鮮明になっているとされる。WPPの現CEO(最高経営責任者)マーク・リード(Mark Read)氏はバーソンの業績低迷に強い不満を持ち、リストラを主導していると報じられている。

WPPは2024年以降、傘下の多岐にわたる事業ブランドを大きく3つの柱に集約する大規模再編を断行してきた。PR部門をバーソンに一本化したほか、オグルビー(Ogilvy)やVML、AKQAといったクリエイティブ系エージェンシーを統合した「WPPクリエイティブ」、メディア買付・プランニング事業を束ねた「WPPメディア」という3部門体制への移行を進めているという。

今回のバーソン売却検討は、この再編をさらに一歩進め、収益性の高い事業に資源を集中する「選択と集中」の象徴として位置づけられる。米国系大手投資銀行シティグループ(Citi)のアナリストも、バーソンの売却をWPPの財務改善策として推奨するリポートをすでに公表したと報じられている。

バーソン売却の動きは、WPPに限った話ではない。米国ニューヨーク本社の大手広告持株会社オムニコム・グループ(Omnicom Group)も、傘下に持つ4つのPRエージェンシーを2社に統合するなど、グローバルPR業界では大手ネットワークの整理縮小が潮流となっているという。

ただし、売却交渉が順調に進むかは未知数だとも報じられている。業界アナリストは、バーソンのような総合型PRエージェンシーの市場評価は、FGSグローバルのような危機管理・金融特化型と比べて買収倍率が低くなりやすく、売却価格の算定が難航する可能性があると指摘しているという。売却先として、PE投資ファンドや競合大手広告グループの名前が候補として挙がっているが、現時点では具体的な相手先は明らかにされていない。

情報ソース一覧

WPPバーソンPR業界企業売却

記事内容に関するお問い合わせ・フィードバックはこちらからお寄せください。