危機対応の最前線は「従業員の心」だった——米国小児病院の広報責任者が明かす現場の判断

Crisis Response: US Children's Hospital PR Puts Employees First

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危機対応の最前線は「従業員の心」だった——米国小児病院の広報責任者が明かす現場の判断
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ポイント

  • Ragan Communicationsは2026年8月10日、従業員優先の危機広報を報じた
  • Children's Minnesota広報担当者は有給申請却下など事例を紹介
  • 従業員の心を重視し、直接対話で信頼を築く重要性を強調した

PR・コーポレートコミュニケーション専門メディアのRagan Communicationsは、危機発生時に従業員を最優先する広報戦略の実例を2026年8月10日公開の記事で報じた。

記事で紹介されたのは、小児専門医療機関のChildren's Minnesotaで組織コミュニケーション担当シニアディレクターを務めるニック・ラファーヴ(Nick LaFave)氏の取り組みだ。ラファーヴ氏は、テネシー州ナッシュビルで開催されたRagan主催の「Employee Experience Conference」における閉会セッションのファイアサイドチャット(対話形式の講演)に登壇し、危機対応における従業員支援の実践例を語ったという。

有給を使わせない判断が示したもの

Ragan Communicationsの記事によると、ミネアポリス一帯でICE(米国移民・関税執行局)による逮捕への恐怖が広がった際、Children's Minnesotaの従業員の一人が業務に集中できなくなり、午後の業務を休むために4時間分の有給休暇を使いたいと申し出た。ラファーヴ氏はこの申し出を却下したという。

「この人はトラウマを経験していた。だから必要なだけ話を聞いた」とラファーヴ氏は述べたという。「病院が提供している従業員向けの健康支援やカウンセリングの機会を案内したうえで、有給休暇の申請を承認するつもりは絶対にないと伝えた。あなたが苦しんでいるからといって、4時間分の休暇を消化させるようなことはしない、と」。

ラファーヴ氏はこの判断の意味についてこう語ったという。「リーダーとして、従業員の幸福、ワークライフバランス、そして日々の充実に気を配る必要がある。精神的・感情的な健康は、高いパフォーマンスに欠かせない要素だ。普段から自分たちのことを気にかけてくれていると感じていなければ、危機が起きたときに組織を信頼することはできない」。

銃撃事件で試された「人を知る」という平常時の積み重ね

記事はもう一つの事例も伝えている。Annunciation Church Schoolで銃撃事件が発生した際、ラファーヴ氏のチームは病院の緊急指揮システムを起動した。その直後、チームメンバーの一人がその学校に個人的なつながりを持つことが判明したという。

「彼女は涙を流し、半狂乱だった。学校から数ブロックのところに住んでいて、友人がいる。その友人が生きているか死んでいるか分からない状態だった。その日の業務は終わり。ラップトップを閉じて、仕事はできない」とラファーヴ氏は語ったという。

ラファーヴ氏は、危機時に誰かが一歩引く必要があると判断するには、平常時からその人の性格やコミュニケーションスタイルを把握していることが前提になると強調したという。「いつもと違う様子を見抜く必要がある。それは銃撃事件のときだけではなく、日常の中でこそ磨かれるものだ」。

「ベンチ」を持つことが危機対応力を左右する

従業員を業務から外すことが、広報チームの機能停止を意味してはならない。ラファーヴ氏はそのために、平常時からChildren's Minnesotaのコミュニケーション部門とマーケティング部門にまたがる「控えの人材(ベンチ)」を把握していたという。

「まだ積極的に呼び込んでいなかったが、ベンチにいる人材がいることは分かっていた。デジタルチームからも対応できる人間がいる。マーケティングチームからも入れる人間がいる。プランBもプランCも想定していた」とラファーヴ氏は述べたという。

ICEへの恐怖が広まった際には、ラファーヴ氏はHRやコンプライアンス部門の同僚とともに、システム内のすべてのクリニックとユニットを巡回することを決断したという。「1週間かけ、1日10時間かけてシステム全体のすべてのクリニックとユニットを回った。ICEが施設に来た場合に何が起きるかを段階的に説明し、従業員の権利と情報を守る通常の保護措置がすべて有効であることを保証した」とラファーヴ氏は語ったという。

メールやブログ記事といった一方向の情報発信では届かないものが、直接の会話によって伝わったとラファーヴ氏は言う。「危機が起きてから土台を作ろうとしても、それでは遅すぎる。人を知ること、話しかけること、何が大切かを聞くこと。それが土台になる」。

セッションの締めくくりとしてラファーヴ氏が残した言葉は、広報論というよりもマネジメント論に近いものだったという。「明日職場に戻ったら、まず直属の部下を見つけて、仕事と関係のない話をしてほしい。カルチャーという言葉がバズワードになっているが、私たちが語っているのは人間らしさのことだ。基本的な人間らしさを示せば、カルチャーは自然とついてくる」。

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危機対応広報戦略従業員支援組織コミュニケーション

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