IT支出955兆円予測が示す、マーケティングAI導入の主導権がインフラ部門へ移る構造変化

Global IT Spending Expands to $6.37T, Marketing AI Enters IT Procurement

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IT支出955兆円予測が示す、マーケティングAI導入の主導権がインフラ部門へ移る構造変化
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ポイント

  • Gartnerは2026年の世界IT支出が6兆3,700億ドル(955兆円)に達すると予測した
  • データセンターとクラウドがIT支出成長の最大の牽引役となる見込み
  • マーケティングAIは独立した調達カテゴリーとしてIT購買プロセスに組み込まれる

ビジネスおよびテクノロジーに関する調査・アドバイザリー企業のGartnerは、2026年の世界IT支出が6兆3,700億ドル(約955兆円 ※1ドル150円換算)に達するとの予測を発表した。マーケティングテクノロジー専門メディアのMarketScaleは、この予測がマーケティング向けAIエージェントの調達・導入プロセスにどのような影響を与えているかを、2026年8月24日公開の記事で報じた。

Gartnerが2026年7月に公表した最新予測によると、IT支出全体の伸び率は前年比14.2%増で、2025年の5兆5,770億ドルから大幅に拡大するという。Gartnerのディスティングイッシュト・バイス・プレジデント・アナリストであるジョン=デイビッド・ラブロック氏は、「AIに必要なコンピューティング能力を構築することは、人類がこれまでに試みた中で最大のインフラプロジェクトだ」と述べたとされる。

データセンターとクラウドが最大の成長エンジン

Gartnerの予測が示す成長の内訳を見ると、最も伸び率が高いのはデータセンターシステムで、2025年の5,060億ドルから2026年には8,220億ドルへと62.5%増と見込まれるという。次いでIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス、クラウドインフラサービス)が29.3%増の2,870億ドルに達すると予測されている。この2カテゴリーだけで2025年から2026年にかけて3,810億ドル増加するとGartnerは試算しており、その増分がAIをパイロット段階から実運用へと移行させるための投資原資になるとMarketScaleは指摘した。

一方でソフトウェア支出も1兆4,680億ドルへと15.5%伸びるとされるが、インフラ側の加速度はソフトウェアを大きく上回るという。MarketScaleは「多くのアプリケーションチームが2024年から2025年にかけてパイロットを始めた時点で想定していた以上に、インフラ側の拡大ペースは速い」と報じた。同時にGartnerはインフレや供給不足、ハードウェアおよびメモリコストの上昇によってテクノロジー予算が圧迫されていることも指摘しているという。

AIエージェントが「正式な調達案件」になった

こうした投資環境の変化の中で、マーケティング向けAIエージェントの位置づけが大きく変わりつつあるとMarketScaleは報じた。従来、マーケティングツールは比較的軽量なSaaSの追加サービスとして購入されることが多かった。しかし今やAIエージェントは「エージェンティックAI」という独立した調達カテゴリーとして、IT部門の正式な購買プロセスに組み込まれ始めているという。

その象徴的な事例として記事が取り上げたのが、エンタープライズ向けAIプラットフォームを提供するWRITERだ。WRITERはBusiness Wireを通じて配信したプレスリリースで、Gartnerが2026年7月に発表した「マーケティング向けAIエージェント スタートアップベンダー エマージング・マーケット・クアドラント」において「マーケット・シェイパー」に選定されたと発表した。同社はこの選定について、マーケティングおよび収益部門を対象とした1年間にわたるプラットフォーム拡張の成果だと説明しているという。

広報・マーケ担当者が知るべき「ツールでなくインフラの話」

MarketScaleはこの変化の実務的な含意をこう整理している。AIエージェントはモデルの呼び出し、コンテンツ生成、大規模なコンテキストウィンドウでの推論、分析・検索・データパイプラインへの連鎖処理など、従来の自動化ツールとは異なるパターンでコンピューティングリソースを消費するという。データセンターシステムがIT支出の中で最も成長の速い項目になった今、新しいAIエージェントを導入しようとすれば「どのインフラ上で動かすのか」「何のAPIを呼び出すのか」「利用量はどう管理するのか」という問いが避けられなくなる。

MarketScaleはさらに、多くの企業でマーケティングオペレーション部門が「ツールを選んでからIT部門に統合を依頼する」という従来の順序でツール選定を進めてきたが、2026年においては予算の増分がまずコンピューティング・クラウド・プラットフォームのコミットメントに流れていると指摘した。このインフラへの投資コミットメントと整合できないAIエージェントは、機能がどれほど魅力的でも承認を得にくくなるという。

WRITERのようなエージェントがCRMフィールドの更新、アウトバウンドシーケンスの生成、リードルーティングの調整、サービスワークフローのトリガーといった処理を担うようになると、それは「クリエイティブの補助ツール」ではなく「監査可能性が求められる自動化システム」として扱われる必要があるとMarketScaleは報じた。その観点から、AIエージェントプラットフォームがコストの予測可能性やポリシーの適用をクラウドワークロードと同様に支援できるかどうかが、2026年の評価基準として浮上しているという。

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