部門間で「あの人たち」という言葉が出たら要注意、サイロ化の初期サインを広報担当者が見抜く方法
Early Warning: 'Those People' Signals Silos. PR's Guide to Detection
ポイント
- 組織のサイロ化は不満爆発前に始まる兆候がある
- 広報担当者は言葉の「私たち」と「あの人たち」でその兆候を見抜く
- これは所属意識の欠如を示す赤信号であり、深く掘り下げるべきだ
組織のサイロ化は、誰かが不満を爆発させたり、会議を途中退席したりする前から始まっている。むしろ、最初のサインは言葉の中に現れる。広報・コミュニケーション業界向けの専門メディアRagan.comが2026年9月24日、こうした問題意識を持つ実務家へのインタビュー記事を公開した。
取材に応じたのは、米シンシナティ市保健局でコミュニケーション部長兼広報情報担当官を務めるリズ・サマーズ氏だ。同氏がサイロ化の診断で最初に確認するのは、ツールでも会議体でもなく、社員が別の部門をどう呼んでいるかだという。「『私たち』ではなく、仕事の話で『あの人たち』『彼ら』という言葉が聞こえてきたら、それは最初の大きな赤信号です」とサマーズ氏は語っている。「『私たち』という言葉を使うかどうかで、その人がどれだけ組織への帰属意識と誇りを持っているかが分かる。『あの人たち』『彼ら』が出てきたら、もう少し深く掘り下げるべきです」
言葉遣いが溝を広げる
記事によれば、多くの広報担当者はこうした言葉遣いの変化を「職場の雰囲気の問題」として片付けがちだ。しかしサマーズ氏の見立ては異なる。社員が互いを「私たち」と呼ばなくなること自体が、サイロを強化する作用を持つと指摘する。「『私たちvsあの人たち』という構図は、言語的にも深い亀裂です。気づけば自然と陣営ができあがっている。言葉はその人の思考を反映するだけでなく、同時に思考を強化してもいる」とサマーズ氏は述べている。
まず「話を聞く」ことから始める
初期サインをつかんだ後、サマーズ氏が実際に取る行動は地道だ。関係者と直接話す場を設け、共通点と摩擦点を探る。その際の進め方として、同氏はいくつかのステップを挙げている。
まず、リーダーに「誰に話を聞くべきか」を確認する。上位の成果を出しているメンバーを紹介されることが多いが、同時に「率直に話してくれる人は誰か」も聞く必要がある。次に、話を聞く際には目的を正直に伝える。部門がそれぞれ独立して動いているように見える、当事者の目からはどう見えているかを知りたい、と説明する。そしてヒアリングで集めた内容は、そのまま使った言葉を残す形でレポートにまとめ、リーダーへ提出する。「たくさん質問しながら、匿名性を約束してください」とサマーズ氏は語っている。「今の時代、特に恐れているのは自分が不利になることです。発言しても仕事は安全だと、きちんと伝える必要があります」
サイロの根はリーダー層にある
サマーズ氏が持つ持論は、聞く人によっては耳が痛い内容だ。「これは人気のない意見かもしれませんが、サイロ化はトップから始まると思っています。リーダー層が足並みをそろえず、互いへの敬意がなければ、そこが最初のひびになる。みんなが同じ方向に向かって漕ごうとしても、その方向自体がバラバラではどうにもなりません」と語っている。
こうした認識を踏まえ、同氏はリーダーに対しても同様のヒアリングを行う。各リーダーに個別に話を聞き、自分のチームの目標と他部門との関係をどう捉えているかを確認する。その結果を一つの文書にまとめ、各リーダー自身の言葉を使いながら、認識のずれを可視化する。リーダー同士が互いの役割をどう見ているかを文字で突き合わせることで、議論の起点を作るのが狙いだ。
スローガンではなく、継続が鍵
リーダー層の足並みが揃ったとき、広報担当者が陥りやすい失敗がある。すぐにメッセージを発信しようとすることだ。部門横断の自己紹介シリーズを立ち上げたり、他部門の仕事に密着した動画を作ったりする取り組みが典型例だが、サマーズ氏はこの段階で多くの取り組みが止まると指摘する。
代わりに必要なのは、両チームが協力することで「それぞれが何を得られるか」を先に言語化することだ。その答えは部門によって異なるため、両方の答えが出てから初めてメッセージを書く。そして、協力がうまくいった瞬間、たとえば引き継ぎがスムーズにいったケースや、共同作業が結実したプロジェクトを継続して取り上げ続けることで、サイロを崩す文化を積み重ねていく。「これは長期戦のキャンペーンであってスローガンではありません」とサマーズ氏は語っている。「言いたいことや達成したいことをスローガンで飾るのは簡単です。でも、どう裏付けますか。多層的で、長期的で、あらゆる場面で一貫して強化し続けるものでなければならない。一度やって終わりではないのです」
情報ソース一覧
- Ragan Communications - コミュニケーション担当者が問題になる前にサイロを見つける方法 How comms can spot a silo before it becomes a problem - Ragan Communications www.ragan.com/internal-comms-silo-breaking/
- お問い合わせ Contact Us www.cincinnati-oh.gov/health/contact-us/
- 「これを送っておいてくれる?」 — なぜ社内コミュニケーションはもっと評価されるべきなのか | Blink “Can you just send this out?” — Why internal comms deserves better | Blink www.joinblink.com/intelligence/why-internal-comms-deserves-better
- science / article / abs / pii / S0363811117301054 www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0363811117301054
- サイロからワークフローへ:企業コミュニケーションの新たなアーキテクチャ From silos to workflows: The new architecture of corporate communications unitedmindsglobal.com
- 職場におけるコミュニケーションサイロとは何か、そしてそれを解決する方法 What Are Communication Silos in the Workplace and How to Fix Them? cerkl.com/blog/communication-silos
- コラボレーションを阻害する3種類のサイロと、それらを解体する方法 3 Types of Silos That Stifle Collaboration—and How to Dismantle Them hbr.org
- 社内コミュニケーションにおける機能的サイロ、統合、および侵食 - Institute for Public Relations Functional Silos, Integration & Encroachment in Internal Communication - Institute for Public Relations instituteforpr.org
- サイロは生き続ける:複数事業単位企業における調整とコミュニケーションの分析 The Silo Lives: Analyzing Coordination and Communication in Multiunit Companies www.library.hbs.edu