「伝えすぎて何も届かない」を防ぐ社内メッセージ設計、1つだけ届ける技術
Structural Pitfalls: Why Difficult Leadership Messages Inevitably Fail
ポイント
- Ragan Communicationsはリーダーシップメッセージ設計を報じた
- サラ・ブランド氏が困難なメッセージの失敗原因を指摘
- 「一度に伝えすぎる」ことや、現場理解の欠如が信頼を損ねる
広報・社内コミュニケーション専門メディアのRagan Communicationsは、リーダーシップメッセージの設計に関する実践的なインタビュー記事を2026年9月9日公開の記事で報じた。取材に応じたのは、シアトル市監査官室(Office of the Auditor for the City of Seattle)で暫定監査マネージャーを務めるサラ・ブランド氏(Sarah Bland)だ。同氏は従業員フィードバックや受け手の分析を活用して、組織変革時のリーダーシップコミュニケーション設計を支援していると説明している。
「一度に伝えすぎる」が最大の失敗原因
ブランド氏がまず強調したのは、「困難なメッセージは、複数の内容を同時に解読しなければならないとき、さらに処理しにくくなる」という点だという。メッセージを送り出す前に、広報担当者は「従業員に何を理解してほしいか」「どこで反応・質問できるか」を明確にしておく必要があると述べている。
具体的には、「次に何が来るか」を小出しにすることが有効だと話す。すべての情報が揃っていない段階でも「まだその情報はない」と伝えたうえで、「後で必ず戻ってくる」と約束し、それを実行することが重要だとした。情報の不在そのものより、不在を伝えない姿勢が従業員の不信感につながるという考え方だ。
ブランド氏はまた、リーダーが意図せず従業員の信頼を損なう場面についても言及している。現場を理解していないことが言葉や表現ににじみ出たとき、従業員はすぐに「あなたは何もわかっていない」と受け取り、メッセージを聞く気を失うという。例として、夜間シフトや24時間体制のスタッフを抱える組織において、経営幹部が日常業務の実態を把握していない発言をした場合、従業員は「リーダーは自分たちの現実を見ていない」と感じると説明する。「リーダーシップとは社会的なプロセスだ。従業員はリーダーに方向性を求め、リーダーは従業員にそれを実行することを期待する。コミュニケーションは、人々が実際に置かれている現実を反映したものでなければならない」とブランド氏は述べている。
年中間評価プロセスを再設計した実例
ブランド氏は具体的な失敗と改善の事例として、ある年中間パフォーマンス評価のプロセスを取り上げている。当初、担当幹部はこのコミュニケーションに複数の目的を持たせようとしていたという。業績期待値の伝達、一部プロセスの改善、そして従業員からリーダーシップへのフィードバック収集——この三つを一つのメッセージで同時に達成しようとした。
最初のバージョンを広く配信したところ、フィードバックはほとんど返ってこなかったとブランド氏は言う。全員が同意しているのだと誤解してしまいそうになったが、個別に話を聞いてみると、従業員にはさまざまな意見や反応があることがわかった。問題は「複数の別々の課題を、まるでひとつの話題であるかのように回答するよう求めていた」点にあったとブランド氏は分析する。
そこでメッセージの構成を根本から見直した。プロセス改善に関わる内容は、明確な担当者を置いた別の改善プロジェクトとして切り出した。従業員からのフィードバックについては匿名回答を含む別の収集方法を設け、小規模チームでは信頼できるメンバーが非公式に意見を集める方法も採用したという。
「また来てほしい」と思われたら成功のサイン
ブランド氏は、コミュニケーションが機能したかどうかを確認する方法についても述べている。大切なのは、その後に従業員が自らそのプロセスに戻ってこようとするかどうかだという。先述の年中間評価の事例では、最終的にこの仕組みを毎年使えるものに育て上げることができた。改善には複数回の見直しが必要で、「すぐに解決できたわけではなかった」とブランド氏は振り返る。
しかし最終的には、従業員自ら「次の年中間評価はいつやるの?」と聞いてくるようになったという。調査を実施しなくても、「人々が戻ってきて自分から求める」という行動が、コミュニケーションの成功を示す明確なシグナルになると同氏は述べている。
なお、今回の取材はブランド氏の個人的な立場で行われたものであり、シアトル市の見解を代表するものではないとRagan Communicationsは明記している。ブランド氏は2026年10月にシアトルで開催されるRagan's Internal Communications Conferenceで、リーダーシップコミュニケーションに関するセッションに登壇する予定だという。
情報ソース一覧
- 厳しすぎるリーダーシップメッセージは多くのことを詰め込みすぎると失敗する可能性がある - Ragan Communications A tough leadership message can fail when it tries to do too much - Ragan Communications www.ragan.com/internal-comms-leadership-message-psychology/
- なぜあなたはまだ役員会議で真剣に受け止められていないのか Why you still aren't being taken seriously in the boardroom www.ragan.com/rdh/
- 厳しすぎるリーダーシップメッセージは多くのことを詰め込みすぎると失敗する可能性がある - Ragan Communications A tough leadership message can fail when it tries to do too much - Ragan Communications www.linkedin.com
- 記事(PDF)- jiclt.com Article (PDF) - jiclt.com jiclt.com/article/download/pdf/216/
- 組織変更ガイドケースブック DCType バージョン (1) Guiding Org Change Casebook DCType Version (1) mackcenter.berkeley.edu
- 避けるべき4つのリーダーシップコミュニケーションの失敗 - Ragan Communications 4 leadership comms fails to avoid - Ragan Communications www.ragan.com/4-leadership-comms-fails-to-avoid/
- The Illomata International Journal of Management 誌の論文 Article from The Illomata International Journal of Management journal.idscipub.com/index.php/communica/article/download/650/510
- 2025年 国際従業員コミュニケーション影響調査 2025 International Employee Communication Impact Study staffbase.com/blog/employee-communication-impact-study-2025
- 論文(PDF)- jisem-journal.com Article (PDF) - jisem-journal.com jisem-journal.com/index.php/journal/article/download/7241/3341/12058