「正確でも誤解を招けばアウト」環境訴求の38用語集が広報担当者に突きつける開示設計の新基準

PRCA APAC Releases 38-Term Guide to Combat Greenwashing and Greenhushing

ソースに基づく報道記事 6件の情報源
「正確でも誤解を招けばアウト」環境訴求の38用語集が広報担当者に突きつける開示設計の新基準
画像: 情報ソースより

ポイント

  • PRCA APACがサステナビリティに関する38用語集を公開
  • 「正確でも誤解を招けばアウト」とグリーンウォッシングを定義し、広報実務者は情報発信の新基準に対応を迫られる

アジア太平洋地域の広報・コミュニケーション業界団体であるPRCA APACが、サステナビリティに関する表現の実務指針として38用語を収録した用語集を公開した。グリーンウォッシング(根拠のない環境訴求)と、その裏返しであるグリーンハッシング(批判を恐れた情報発信の自粛)の両方を抑制することを目的としている。PRovoke Mediaが2026年9月25日に報じた。

今回の用語集は、PRCA APAC内に設置されたサステナビリティ・グループが中心になって開発した。対象はPR代理店と企業の広報・コミュニケーション部門の両方とされており、サステナビリティに関わるコミュニケーションの立案または承認に携わるすべての実務者を想定している。

「正確でも誤解を招けばアウト」という定義

用語集が収録するのは、「ネットゼロ」「気候中立」「カーボンニュートラル」「ESG」「トランジション・ウォッシング」「パーパス主導」「リジェネラティブ」など、企業のサステナビリティ情報発信でよく使われる38語だ。それぞれの用語について、正しい使い方・証拠が必要な場面・誤用した場合にどのような問題が生じるかを示す構成になっている。

グリーンウォッシングの定義が注目に値する。用語集は「虚偽の環境訴求をすること」にとどまらず、「技術的に正確な表現であっても、都合のいい情報だけを選んだり、重要な情報を省いたりすることで、組織の環境パフォーマンスについて誤った全体像を与えること」をグリーンウォッシングと定義している。正確な数字を使っていても、文脈を操作すれば規制当局や消費者から問題視される可能性があるという考え方だ。

「エコフレンドリー(環境にやさしい)」についても厳しい姿勢を示している。用語集は同表現を「広すぎて時代遅れ」と位置づけ、証拠に裏づけられた具体的な環境改善の説明に置き換えるよう推奨している。認証取得だけでは、製品が環境全体に対してプラスであると示したことにはならないとも明記されている。

「沈黙」もリスクとして明示

ネットゼロの訴求については、削減を優先する戦略、対象範囲と基準値の定義、中間目標の設定、透明性のある報告という要件をすべて満たす必要があるとされており、カーボンオフセットへの依存を主軸にすることは認められない。「気候中立」は「高リスク」な表現として分類され、「カーボンニュートラル」と同義語のように使うことは避けるよう指示されている。

「トランジション・ウォッシング」は、企業や金融商品が実態よりも速く、あるいは大幅にネットゼロへ移行しているかのような誤った印象を与えることと定義されている。用語集は、長期的な目標だけに焦点を当てるのではなく、現在の事業活動、設備投資、スケジュール、中間目標、開示済みの進捗状況と照らし合わせて訴求内容を検証するよう促している。

一方、情報発信を控えるグリーンハッシングについても警鐘を鳴らしている。根拠に基づく慎重な発信と沈黙は区別すべきであり、発信をやめることは透明性と説明責任を損ない、場合によっては問題の放置につながりかねないと指摘している。

また「パーパス主導」という表現は、証拠の代わりとして使ったり、単発の社会貢献キャンペーンを指すために使ったりしてはならないと注意喚起している。「インパクト主導」も、訴求する成果が測定・開示されていなければ空虚なマーケティング言語になると警告している。

業界の自主規制として設計

PRCA APACサステナビリティ・グループ座長のプラナフ・ラストギ氏は、今の広報実務者には用語の意味を知るだけでなく、それを使う際の背景・文脈・影響まで理解することが求められていると語っている。「この用語集は、実務者がより適切な問いを立て、伝えるよう求められている訴求内容を厳しく検証し、サステナビリティ問題をより明確かつ正確に伝えるための実践的なリソースとなることを意図している。優れたコミュニケーションは信頼できる事業活動の代わりにはなれないが、その活動を責任ある形で表現する助けにはなれる」と述べている。

用語集の策定にはフリーランスの気候・ビジネス記者であるロビン・ヒックス氏も助言者として参加した。

アジア太平洋地域では、環境訴求に関する規制要件が国・地域ごとに大きく異なる。用語集はそうした状況を踏まえ、コンプライアンスのチェックリストとしてではなく、実務参照ツールとして位置づけられている。

情報ソース一覧

グリーンウォッシングサステナビリティ広報戦略グリーンハッシング

記事内容に関するお問い合わせ・フィードバックはこちらからお寄せください。