信頼なき状況でも相手を動かす3つの手法、PRの研究機関が実践的枠組みを公開

3 Strategic Communication Methods for PR Pros to Move Forward Without Trust

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信頼なき状況でも相手を動かす3つの手法、PRの研究機関が実践的枠組みを公開
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ポイント

  • PR研究機関IPRが、信頼なき状況で相手を動かす枠組みを公開
  • 論文「Trustless Strategic Communication」から着想を得て、行動を促す
  • 2026年9月30日公開の論考は、信頼と依存を区別し、まず依存確保を提唱

信頼を失った組織や、まだ信頼を獲得できていないブランドが、それでも相手に行動してもらうための実践的な枠組みが提唱された。PR業界の独立系研究・教育機関「Institute for Public Relations(IPR)」の行動科学専門部門「IPR行動インサイト研究センター(BIRC)」が2026年9月30日、この枠組みをまとめた論考をウェブサイト上で公開した。

論考の執筆者(Barnoy)は「Communication Theory」誌で発表した自身の論文「Trustless Strategic Communication」の内容をもとに枠組みを解説している。同論文はブロックチェーンや一部のサイバーセキュリティ手法といった「トラストレス(信頼不要)」な構造から着想を得ており、信頼を前提とせずに関係者の行動を引き出す戦略コミュニケーションの枠組みを示している。実証には2025年から2026年にかけて複数の分野のコミュニケーション専門家を対象に実施した半構造化インタビューが用いられた。

「信頼」と「依存」は別物

論考が核心に置くのは「Trust(信頼)」と「Reliance(依存)」の区別だ。信頼とは、相手に依存しながらも傷つく可能性を受け入れる意思を指す。一方、依存はその意思がなくても成立しうる。つまり、相手に懐疑的なまま依存関係が生じることはある。

論考はこの区分を踏まえ、「信頼が十分に得られない状況では、依存を先に確保しながら、信頼の構築を中長期で続ける」という2段構えのアプローチを提案している。例として挙げられる場面は幅広い。危機後の組織、候補者への不信から始まる選挙キャンペーン、実績のない新ブランドの立ち上げ、高額購入や医療的決断といった本人にとってリスクの高い選択場面がある。こうした状況では、信頼が整うまで待つのではなく、依存を可能にする条件を先に整えることが重要だと論考は述べている。

依存を引き出す3つのアプローチ

論考が示す実践的な手法は3つに整理される。

1つ目は「主張を検証可能にする」ことだ。「信頼してください」と言うかわりに、関係者が自分で確認できる証拠を提供する。危機後であれば、リアルタイムの状況監視や数値で示せる改善の進捗がその例になる。新製品であれば、仕様書・試験データ・第三者による検証プロセスの公開がこれに当たる。目標は「完全な透明性」ではなく、問題になっている主張だけを検証可能にすることだと論考は指摘している。

2つ目は「約束を破りにくい仕組みを作る」ことだ。関係者が「あとで組織が善意でそうしてくれるだろう」という期待に頼らなくて済む状態を作る。新ブランドによる返金保証、サービス事業者による自動補償の仕組み、高額購入時の明確な返品・交換条件などがその例だ。こうした仕組みがあれば、結果は組織の裁量より条件の充足に依存する形になる。

3つ目は「組織だけが保証の担い手にならない」ことだ。第三者の監査機関、規制当局、認証団体、専門家、関係者の代表などを保証の担い手として関与させることで、組織への直接の信頼に依存しない構造を作る。論考が「独立」という言葉を強調するのはここだ。関係者が同様に不信を持つ第三者に信頼を転嫁しても意味がないため、「独立性」が決定的に重要だとされている。

枠組みが示す信頼との関係

論考はあわせて、この枠組みが哲学的な信頼・依存の理論と、ブロックチェーン等に代表されるトラストレスな技術構造の両方から着想を得ていることを説明している。「トラストレス」という語は「信頼が不要」「信頼が消滅する」という意味ではなく、「相手の言葉をそのまま信じる度合いを下げる」という意味で使われている点も明記されている。

また、依存は即座の目的を果たすだけでなく、関係者をつなぎ止め、後から信頼が育つ機会を作るものでもあると論考は述べている。論考内のセクション見出しにある「信頼はマラソン」という表現は、依存が短期の手段であり、信頼の構築はその先に続く長期の取り組みであることを示している。

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広報信頼構築戦略コミュニケーション危機管理

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