34カ国で「AIは雇用を奪う」が多数派、知識量だけでは払拭できない不安の構造
Global AI Job Fears: 34 of 37 Countries See AI Decreasing Employment
ポイント
- 世界37カ国中34カ国で、AIが雇用を減らすと考える人が多数を占めた
- 日常生活でのAI活用にも懸念が優勢で、若い世代の不安が急速に拡大
- 米国では若年層のAI不安が55%へ急増
世界37の国・地域のうち34カ国で、AIが雇用を増やすより減らすと考える人が多数を占めることが、大規模な国際調査で明らかになった。調査・研究機関のPew Research Centerが2026年9月17日に報告書を公表し、PR・コミュニケーション分野の研究機関であるInstitute for Public Relations(IPR)が2026年10月21日、その主要な知見を取り上げた。
調査は2026年2月8日から5月13日にかけて、36カ国の成人42,151人を対象に実施された。対象国はアルゼンチン、オーストラリア、バングラデシュ、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、フランス、ドイツ、ガーナ、ギリシャ、ハンガリー、インド、インドネシア、イスラエル、イタリア、日本、ケニア、マレーシア、メキシコ、オランダ、ナイジェリア、パキスタン、ペルー、フィリピン、ポーランド、シンガポール、南アフリカ、韓国、スペイン、スリランカ、スウェーデン、タイ、トルコ、英国、ヨルダン川西岸・東エルサレムの36カ国・地域で、米国については別途2つの調査を組み合わせて合計8,607人の成人が回答した。
雇用不安が世界を席巻
雇用に関する見方は厳しい。Pew Research Centerの報告書によれば、今後20年間でAIが雇用を増やすより減らすと考える人が多い国は37のうち34カ国にのぼる。雇用減少への懸念が最も強かったのはオーストラリアと韓国で、それぞれ76%の回答者がAIにより雇用が失われると答えた。米国も71%と高い水準にある。
日常生活におけるAIの広がりへの感情を尋ねた設問でも、世界全体で懸念が大きく勝った。Pew Research Centerの調査では、37カ国中36カ国で、日常生活でのAI活用が進むことに「主に興奮」よりも「主に懸念」を感じる人が多かった。世界の中央値で見ると「主に懸念」が37%、「主に興奮」はわずか13%にとどまった。「同程度に懸念もあり興奮もある」と答えた人は世界全体の中央値で41%だった。
若い世代の不安が急速に拡大
米国内の変化も報告書は詳しく示している。IPRの記事によれば、米国の18歳から34歳のうち「興奮より懸念が上回る」と答えた割合は、2024年の40%から2026年には55%へと急増した。若い世代がAIへの不安を急速に強めている実態が浮かんでくる。
また若者のAIによる雇用喪失・格差拡大への懸念が前年より大きく増加した国として、スウェーデン、ポーランド、日本、オーストラリア、ブラジル、米国が挙げられている。
知識があるほど前向き、ただし不安も消えない
AIへの認知度と感情の関係については、Pew Research Centerの調査が興味深い傾向を示している。AIについてよく知っているドイツ人のうち「懸念より興奮が上回る」と答えた人は15%だった。一方、AIをほとんど、あるいは全く聞いたことがないドイツ人では、その割合は8%にとどまる。知識と楽観的な見方には一定の相関があるが、それでも「興奮が勝る」と答える人は少数派にとどまっており、情報量の増加が不安の解消につながるとは言い切れない構造になっている。
AI認知度については国ごとのばらつきも大きい。Pew Research Centerの報告書によれば、AIについて「多くを知っている」と答えた人の割合は、日本やドイツでは過半数を超える一方、スリランカやバングラデシュでは10人に1人以下にとどまる。また25カ国で前年からの推移を比較できるデータがあり、そのうち11カ国でAI認知度が上昇した。最大の伸びはナイジェリアの14ポイント増で、ハンガリーの11ポイント増、英国の10ポイント増が続く。
IPRはこの調査の意義について、「AIの普及が進む中、企業リーダーは雇用の安定に関する懸念に正面から向き合い、従業員の信頼を高めてAI導入を支えることが求められる」と述べている。
情報ソース一覧
- AIに対する世界的な態度、高まる懸念を明らかに Global Attitudes Toward AI Reveal Growing Unease instituteforpr.org/global-attitudes-toward-ai-reveal-growing-unease/
- AIについてどれだけの人が見聞きし、その認識はどのように変化しているか? Who has heard or read a lot about AI, and how is awareness changing? www.pewresearch.org
- www.thebrief.news www.thebrief.news
- AIに関する世界的な見解レポート Global Views of AI Report www.astrid-online.it
- 世界的な見解の変化:AIによる失業を期待する人の方が、雇用創出を期待する人よりも多い Global Views Shift: More People Expect AI Job Loss Than Gains www.rswebsols.com
- 世論 | 2026年版 AIインデックスレポート Public Opinion | The 2026 AI Index Report hai.stanford.edu/ai-index/2026-ai-index-report/public-opinion
- 米国の若年層はAIへの警戒心を強め、職が奪われることを懸念 Young adults in the U.S. are increasingly wary of AI, concerned it will take jobs www.pewresearch.org
- 2026年版 AIインデックスレポート:第9章 世論 The 2026 AI Index Report: Chapter 9 - Public Opinion hai.stanford.edu
- AIに関する世界的な見解:主要調査結果 Global Views of AI: Topline Findings www.pewresearch.org