巨大企業が2つに割れるとき、社内広報は1年続く――分割時代の「2つの物語」戦略

Internal Comms Reality: Company Splits Require More Than One Press Release

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巨大企業が2つに割れるとき、社内広報は1年続く――分割時代の「2つの物語」戦略
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ポイント

  • Ragan Communicationsが企業分割時の社内課題を詳報した
  • Comcastは2026年6月29日にメディア部門分離を発表
  • 約1年後の完了を見込み、新生Comcastは6,500万超の顧客を抱える

米国の広報・コミュニケーション専門メディア「Ragan Communications」は、大規模な企業分割時における社内コミュニケーションの課題を詳報する記事を2026年7月9日に公開した。同記事が取り上げたのは、NBCやPeacockなどのメディア事業と、ブロードバンド・無線通信などのインフラ事業を2つの独立した上場企業に分離すると発表した米国の通信・メディア大手Comcastの事例だ。

Comcastは2026年6月29日、税制上優遇されたスピンオフ(企業分割)の形式で、メディア部門のNBCUniversalとSkyを切り離すと正式に発表した。分割の完了は発表から約1年後を見込んでいるという。ブロードバンドや無線通信のインフラを中心とする新生Comcastは6,500万超の家庭・法人顧客を引き続き抱え、NBCと民放テレビ局Telemundo、定額制動画配信サービスPeacock、映画・テーマパーク事業などを持つ新生NBCUniversalは独立企業として株式市場に上場する。現共同CEOのマイク・キャバノー(Mike Cavanagh)氏が新生NBCUniversalのCEOに、元CFO(最高財務責任者)のマイケル・アンジェラキス(Michael Angelakis)氏が新生ComcastのCEOにそれぞれ就任する予定だとしている。

「2つの物語」を同時に語る難しさ

Ragan Communicationsの記事が焦点を当てるのは、こうした大規模分割において広報・コミュニケーション担当者が直面する特有の課題だ。同記事はコミュニケーション・アドバイザリー企業のVestedのマネージングディレクター、テッド・バークハン(Ted Birkhahn)氏の見解を中心に構成されている。

バークハン氏は「実質的に2つのコミュニケーションプログラムをほぼ同時並行で運営しなければならない」と指摘する。一方は分割後も元の会社に残る従業員向けで、もう一方は新会社に移る従業員向けだという。残留組に対しては「なぜ会社の将来は明るいのか」「この分割が長期成長においてなぜ合理的なのか」という継続性と安心感を伝える必要がある。一方、新会社に移る従業員に対しては「新しい名前、新しいブランド、新しいビジョン、新しいミッション」をゼロから構築して伝えるという、まったく異なる作業が求められるとバークハン氏は述べているという。

「繰り返し伝える」ことが信頼をつくる

Ragan Communicationsの記事はさらに、発表から分割完了まで約1年という長期間のコミュニケーション管理の難しさを掘り下げている。その間も通常業務は続き、従業員は自分の将来についての手がかりを常に探している。バークハン氏は「通常業務のコミュニケーションと、分割に対する信頼感の維持をバランスよく両立させなければならない」と述べているという。

メッセージの一貫性についても、バークハン氏は強調する。「メッセージに不一致が生じると、混乱が生まれる。それは信頼を損ない、残留組・移籍組の双方に不安を生む」とし、両グループへの一貫したメッセージングが「非常に、非常に重要だ」と語ったという。コア情報は町(社内)説明会、FAQ資料、イントラネット(社内情報共有サイト)の継続投稿など複数の手段で繰り返し届けることが有効だとし、「繰り返しはOKであり、むしろ推奨される」とバークハン氏は述べている。従業員に繰り返し伝えることで、その中心的なストーリーが定着していくからだとしている。

社内広報として従業員に伝えるべき核心情報について、同記事は以下の5点を挙げている。分割がなぜ起きるのか、今何が変わるのか、変わらないことは何か、今後の決定事項として残っているものは何か、そして最新情報はどこで確認できるのか——の5点だ。

管理職への「伝え方のフレームワーク」が鍵

Ragan Communicationsの記事はまた、管理職(マネージャー)層への対応を別立てで論じている。分割のような大規模な組織変更の場面では、現場の管理職が部下から答えの出ていない質問を受けるケースが多発する。バークハン氏は「答えが分からない場合は、そのまま『分からない』と伝えてよい。ただし、何かを約束したり、憶測を語ったりしてはならない」と述べているという。答えが出たときには必ず従業員に共有すると明言することが重要だとしている。

コミュニケーション会社Montieth & CompanyのCEO、モンティス・イリングワース(Montieth Illingworth)氏も同記事に登場し、従業員はリーダーが「事業のことだけでなく、自分たちのチームにとって分割が何を意味するかを考え抜いているか」を見ているのだと指摘する。「率直に話す。なぜこれが必要だったかを説明する。不確実性はあるが、適切な人材がそろっている」という姿勢が求められるという。

バークハン氏は最後に、情報をきちんと得た従業員は組織のブランド大使になると語る。「従業員が顧客や周囲の人と話すとき、分割についてポジティブに語ってほしい。『何が起きているのか全然分からない』という言葉を外に出してほしくない」と述べているという。

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