「私は関与していない」という声明がなぜ炎上を拡大させたのか、エド・シーラン騒動から学ぶ危機対応の教訓

The pitfall of "It wasn't my decision" in crisis management: Ed Sheeran's case

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「私は関与していない」という声明がなぜ炎上を拡大させたのか、エド・シーラン騒動から学ぶ危機対応の教訓
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ポイント

  • 米ラッパーのマックルモアが、政治的発言でエド・シーランのツアーから降板した
  • シーランは「プロモーターの決定であり、私ではない」と声明を発表
  • この声明は批判を悪化させ、4組のアーティストがツアーを離脱した

PR業界専門メディアのPR Dailyは、2026年9月16日公開の記事で、エド・シーランによる声明と、それが引き起こした反発の連鎖を報じた。

マックルモアがメットライフ・スタジアムでの公演中に「フリー・パレスチナ」と発言したことを発端に、複数の会場がマックルモアをラインナップに残す場合は公演を受け入れないと表明した。その結果、マックルモアはエド・シーランの「Loop Tour」の米国残り公演から降板させられた。

降板を求めた関係者として浮上したのが、自身が経営する企業がギレット・スタジアムを所有しているロバート・クラフトだ。クラフトは降板を求めた理由として、今回の発言だけでなく、ユダヤ人に対して不快とされる「言動や表現の歴史」も考慮したとNewsweekが報じた。

批判が高まるなか、シーランは最終的にInstagramで声明を発表した。「マックルモアのツアー離脱はプロモーターの決定であり、私の決定ではない」と投稿し、自身は会場やプロモーターとの妥協点を探ろうとしたが叶わなかったとして、「私は共謀していない(I am not complicit)」と記した。シーランはあわせて、自分のコンサートは「一体感、喜び、現実からの逃避、そして愛」の場でありたいと述べ、音楽と政治を切り離したいというスタンスを強調した。なお、シーランはこの投稿のコメント欄を閉鎖した。

しかしこの声明は批判の火を消すどころか、さらに燃え広がる結果を招いた。PR Dailyは、マックルモアが事前に「長年の親友」としてシーランへの親愛の情を込めた声明を出していたにもかかわらず、シーランの投稿がその個人的なつながりについてほとんど触れなかった点を指摘した。シーランの声明は「マックルモアの仕事を称える」表現にとどまり、二人の人間的な関係への言及は事実上なかったという。また、シーランが2022年にウクライナ支援のためのコンサートを実施していたことを一部の人々が指摘し、今回の「政治を持ち込まない」というスタンスとの矛盾を問う声が上がっていることも同記事は伝えている。

声明への反発は言葉の上だけにとどまらなかった。ツアーに参加していたパフォーマーのアーロン・ロウ(Aaron Rowe)、ベオガ、ルーカス・グラハム、フィニアスの4組が、マックルモアへの連帯を示してその後の公演への参加を取りやめると表明した。

PR Dailyの記事は、この一連の経緯に対して明確な評価を示している。シーランの声明は「なぜ決定が起きたか」の詳細な説明には多くの言葉を費やした。決定したのはプロモーターであり、自分は止めようとしたのであり、共謀してもいない、という論点を積み重ねた。しかし、「なぜ人々が怒っているのか」を理解していると示すことにはほとんど言葉を割かなかったと同記事は指摘する。すでに怒りを抱えた人々に対して自己弁護から始まった対応は、共感ではなく冷淡さとして受け取られやすい。PR Dailyは「自分が責められるべきではない理由を主に主張するような声明は、批判者にさらなる攻撃材料を与えるだけだ」と論じており、責任の所在を説明することと、相手の感情に寄り添うことは別の行為であると明確に区別している。その順序を誤ったことで、他のアーティストの連帯離脱という目に見えるかたちで状況はさらに悪化した。

情報ソース一覧

危機対応広報エド・シーランマックルモア

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