広告予算の89%がAI検索とCTVに流れた調査が示す、地上波離れと機動型予算へのシフト
Ad Agencies in 2026: 89% of budgets shift to AI search & CTV
ポイント
- 経済不確実性の中、広告クライアントはAI検索とストリーミング動画へ予算を増やしている
- 2026年の調査で、AI検索とCTVへの予算増加は89%に達し最多となった
- クライアントは長期契約を避け、予算規模維持でも高い柔軟性を強く求めている
経済的な不確実性と急速なテクノロジーの変化を受け、メディア広告の買い付けを担う代理店のクライアントが、AI検索とストリーミング動画への予算配分を大きく増やしている。米国のメディア・マーケティング専門メディアDigidayが2026年10月5日、「Digiday Media Agency Report 2026」を公開した。同レポートはDigidayの有料会員向けサービス「Digiday+」限定のコンテンツとして配信されている。
調査は2026年第3四半期(7月〜9月)に実施され、代理店の担当者30名を対象としたアンケートと、5名のシニアクラスの代理店幹部を集めたフォーカスグループを組み合わせて設計されている。フォーカスグループに参加した代理店は、Go Fish Digital、Horizon Media、Novus、Tinuiti、UMの5社だ。
AI検索とCTVが並んで首位に
調査結果によれば、2026年にクライアントが予算を増やしたチャネルとして最多の回答を集めたのは、AI検索とストリーミング動画・CTV(インターネットに接続されたテレビデバイスを通じた動画視聴・広告配信の総称)で、それぞれ回答者の89%が増加を報告した。クリエイター・インフルエンサーマーケティングとソーシャルメディアがそれぞれ78%で続いた。一方、屋外広告と地上波放送テレビは、それぞれ60%の回答者が予算の減少を報告しており、予算の流出先と流入先が鮮明に分かれる構図となっている。
2026年6月にWPPは、AI検索が広告投資の中で最も成長の速い分野になると予測しており、今回のDigiday調査の結果はその見通しと一致している。
予算規模は横ばいから微増、柔軟性を求める動きが強まる
クライアントの予算規模については、2025年の関税や物価上昇の影響から回復しつつある状況が浮かび上がった。回答者の36%がクライアントの予算は2026年も変わらないと答え、32%が増加したと回答した。減少と答えたのは18%にとどまった。
ただし予算規模が維持または改善されたことは、長期コミットメントへの積極性とは別の話だ。2026年5月に開催された「アップフロント」(テレビ・動画広告の大型先行購入商談)でクライアントが慎重姿勢を崩さなかったことが、フォーカスグループ参加者の口から共通して語られた。
Horizon Mediaでシニアバイスプレジデント・統合投資を担うサラ・ダフィ氏は、「支出の振れ幅は、各社のビジネス状況に応じて日単位・週単位・月単位で変わる。アップフロントでの長期コミットメントに柔軟性を持たせることは、クライアントの間で確実に広がっている」と語っている。
UMでチーフ・インベストメント・オフィサーを務めるマーシー・グリーンバーガー氏も、「アップフロントでドルを手元に置いたまま様子を見るクライアントが増えている。これは必ずしも支出が減るサインではなく、年間を通じて新しい機会が生まれるたびに動けるよう、身構えているということだ」と述べている。
2027年の見通しについては、回答者の39%が予算は変わらないと予測し、同じく39%が増加すると見込んでいる。減少を予測する回答者は21%だった。
AIの収益化が新たな課題として浮上
レポートはクリエイターとの連携やAI活用コストの管理も論点として取り上げている。AI検索の台頭はメディアプランニングのあり方に影響を与えるだけでなく、代理店がAIにかかるコストをどう収益として回収するかという経営上の問いも生み出している。
ダフィ氏は2027年の展望について、「来年はおそらく今年と大きく変わらないが、柔軟性の高い環境に加え、スポーツのような需要が集中する高単価の枠をいかに確保するかが重要になる。前半と後半でどう違うか、今から押さえるべき在庫はどこかを考え続けることになる」と語っている。
情報ソース一覧
- Digidayメディアエージェンシーレポート2026:AIとクリエイターによって形成されるメディア環境にエージェンシーがどのように適応するか Digiday Media Agency Report 2026: How agencies adapt to a media landscape shaped by AI and creators digiday.com
- ホームページ Homepage digiday.com/
- Digiday+ リサーチアーカイブ Digiday+ Research Archives digiday.com/series/research/
- ゼロクリック時代において、ブランドにとって視認性だけではもはや不十分 In the zero-click era, visibility alone is no longer enough for brands digiday.com
- Digiday+ リサーチ:マーケターのAI利用は増加するも、技術スキルは停滞 Digiday+ Research: Marketers’ AI use rises, but tech skills stall digiday.com
- AI生成コンテンツの過剰供給の後、クリエイターの信頼性と「不完全さ」が高く求められている After an oversaturation of AI-generated content, creators’ authenticity and ‘messiness’ are in high demand digiday.com
- Li Lu Li Lu digiday.com/author/liludigiday-com/
- メディアアーカイブ Media Archives digiday.com/media/
- Digidayリサーチ:AIアプリケーションに関するマーケター向けガイド - Agentic AI、AI検索、2026年のGeo-AEO Digiday Research: The Marketers' Guide to AI Applications - Agentic AI, AI Search, and Geo-AEO in 2026 digiday.com