毎日サーベイを実施した巨大企業が「回答放置」で従業員の信頼を失い、伝え方の転換で立て直した全経緯

Employee Surveys: Amazon & Alaska Airlines' Solutions for Building Employee Trust

ソースに基づく報道記事 10件の情報源
毎日サーベイを実施した巨大企業が「回答放置」で従業員の信頼を失い、伝え方の転換で立て直した全経緯
画像: AI生成(イメージ)

ポイント

  • アマゾンは毎日実施する従業員サーベイで、回答を放置し不信感が生じた
  • これに対し、同社はデータ収集から行動を示すコミュニケーションへ転換
  • アラスカ航空も「報告への応答」を重視し、信頼構築の重要性を示した

アマゾンが毎日実施している従業員向けサーベイで、従業員が回答を送っても何の反応も返ってこないことで「測定ツールそのものへの不信感」が生まれていたことが明らかになった。広報・コミュニケーション業界の専門メディアRagan.comが2026年10月20日、カンファレンス「Ragan's 2026 Internal Communications Conference」の最終セッションの内容を報じた。

記事によれば、アマゾンでエンゲージメントおよびコミュニケーション部門を統括するヒラリー・スパロウ氏が、同カンファレンスの対談形式のセッションに登壇し、自社サーベイの調査結果を語っている。アマゾンでは従業員が毎日、仕事への満足度や関与度を測る短い設問に回答する仕組みを取っている。ところが回答データを深く分析したところ、想定外の事態が浮かび上がった。

「データを掘り下げてみると、従業員がシステムそのものを信用しなくなっていたことが分かった」とスパロウ氏は語っている。「個別の声を聴くセッションを実施してみると、データを社内に示すことと、それに対して何をしたかを伝えることに、私たちが本当に苦労していると気づいた」。

「フィードバックを放置」が信頼を壊す

この発見を受けて、スパロウ氏のチームは取り組みの軸を「データ収集」から「経営層が何を聞き、何をしたかを従業員に示すこと」へと転換した。具体的には、全社ミーティングでサーベイ結果を話題にし、定期的なニュースレターにも組み込んでいる。さらにチーム単位まで掘り下げ、管理職が継続的な対話を続けられるよう、必要なツールや情報を提供している。

「従業員がフィードバックを送っても何も返ってこない状態は、信頼を壊す最大の要因だ」とスパロウ氏は述べている。

同じセッションに登壇したのが、アラスカ航空のコミュニケーション担当バイスプレジデント、アレクサ・ルーディン氏だ。アラスカ航空はハワイアン航空を買収した後、両社の従業員に向けた共通価値観のキャンペーンを展開した。その中心に置いたのが「安全」だった。

報告件数が増えるほど「よい兆候」と捉える仕組み

ルーディン氏はアラスカ航空独自の安全報告への考え方を紹介している。建設現場で「事故ゼロ日数」を掲示するのとは真逆の発想で、報告件数が多いほど運航と安全への理解が深まると捉え、件数を積極的に称賛しているという。社内イントラネット上では、報告件数をリアルタイムで表示するカウンターを設けており、数字が大きいほど好ましいとされる。

安全報告を年末ボーナスの評価指標に組み込むことで、従業員が報告に経済的な意義を感じられる仕組みも取り入れている。一方でルーディン氏は、金銭的な動機付けだけでは習慣は続かないとも指摘している。

「『あなたが報告し、私たちが応答する(You Report, We Respond)』というキャンペーンを始めた」とルーディン氏は語っている。「報告の内容によっては、調べた結果として特に問題がないこともある。その場合でも必ずフォローアップして、何もなかったという事実を伝える。そうしないと、なかったはずの問題が大きな懸念へと育ってしまう」。

リーダーは「完全な答え」がなくても発信できる

ルーディン氏はまた、従業員から最も信頼されているリーダーは、ニュースの有無にかかわらず一貫して発信し続ける人物だと強調した。

「多くのリーダーは完璧な形で登場しようとする。完璧であるには、全体像を持ち、すべての問いに答えられなければならないと考えている。それは全く違う」と語っている。「『まだ分かっていることはここまでだ』と言うだけでも、十分に効果がある」。

スパロウ氏もこの考えに同意しつつ、自分のチームの役割をさらに広く捉えていると語っている。サーベイ結果を共有することはチームの仕事の一部にすぎない。メッセージを会社のリーダーシップ原則や戦略と結び付けることで、従業員が共通の価値観を持てるようにすることも重要な職務と捉えている。

「忙しいチームが速いスピードで動いていると、立ち返ることを忘れてしまう」とスパロウ氏は述べている。「キーメッセージを繰り返し思い起こさせることが、私のチームの重要な役割のひとつだ。イベント、ニュースレター、さまざまなコミュニケーション手段を通じた反復が、私たちにとって非常に重要だった。一貫性こそが信頼だと思っている」。

情報ソース一覧

従業員サーベイ社内コミュニケーション従業員エンゲージメント信頼構築

記事内容に関するお問い合わせ・フィードバックはこちらからお寄せください。