「まずい」を武器に変えた蒸留酒ブランドが示す欠点開示マーケティングの3つの設計思想

Contrarian Brand's 'Bad Taste' Marketing Goes National

ソースに基づく報道記事 8件の情報源

ポイント

  • 米Jeppson's Malörtは「まずい」を強みに、全米の過半数の州で販売拡大
  • 2025年6月、衝撃的な味表現を広告に採用し、消費者の投稿をラベルに印刷した
  • この逆張り戦略をマーケティングメディアContagiousが2025年8月に詳細に分析した

マーケティング業界の専門メディアであるContagious(コンテイジャス)は、米国のスピリッツブランド「Jeppson's Malört(イェプソンズ・マルート)」のキャンペーンを「今週のキャンペーン」として取り上げたと、2025年8月27日公開の記事で報じた。同記事は、製品の欠点そのものをブランドの最大の強みへと転換した同ブランドの戦略を詳細に分析している。

「まずい」の記述がそのまま広告コピーに

Malörtはニガヨモギ(wormwood)を原料とする蒸留酒で、シカゴの独立系蒸留所CH Distilleryが製造しているという。同ブランドは長年にわたって「史上最悪の味」として知られてきたが、その評判を隠すどころか、正面から武器として活用するキャンペーンを展開してきた。

Contagiousの報道によると、2025年6月、MalörtはシカゴのクリエイティブエージェンシーであるQuality Meats Creativeが制作したキャンペーンを開始したという。「ガソリンに浸けたロバの〇〇」「マニキュア液の浣腸」「湿ったゴミ箱の残骸」といった衝撃的な味の描写をコピーとして採用し、SNS、屋外広告(OOH)、そしてパッケージに掲載したと報じられている。

この広告が目指したのは単なる話題性ではなく、消費者を実際に試飲させ、さらに自分自身の「テイスティングノート」をウェブサイトに投稿させることだったという。Contagiousによると、同ブランドは寄せられた記述の中から優秀な15件を選出し、SNS上での一般投票を実施。上位3件に選ばれた表現は、実際に酒販店やバーで売られるボトルのラベルに印刷されるという仕組みを設けたと報じられている。

キャンペーンの設計思想——「嫌悪感」を三段階で波及させる

Contagiousはこのキャンペーンの構造を「少なくとも3回の認知接点を生み出す設計」と評している。キャンペーン自体の発表、SNS投票による拡散、そして受賞した表現が実際の店頭商品に反映される瞬間——この三段階が次々と認知を広げていくという。

同メディアはさらに、Malörtがバーでの購買行動に直接影響を与えている点にも言及している。「本当にそんなにまずいのか?」という好奇心が、友人グループでのショット注文を自然に促すというメカニズムが機能しているとしている。また、同ブランドは自虐的なユーモアを核心に据えた2024年のキャンペーンや、「Malört Sucks(マルートはまずい)」と名付けたハードキャンディー製品も展開してきたと報じられている。

同ブランドの戦略についてContagiousは、心理学の「失敗効果(pratfall effect)」——欠点を認めることで、むしろ好感度や信頼性が高まる現象——を意図的に活用したものだと分析している。さらに、Malörtが「ダイブバー(労働者階級が集う飾り気のない大衆酒場)のショット」として長年位置づけられてきたことで、「まずさ」自体が真正性の証明となり、精巧なカクテル文化への対抗軸として機能していると解説している。なお同メディアが引用したBeverageTrakのデータによれば、バーなどの飲食店経由のスピリッツ販売において、カクテルなどのミックスドリンクが売上全体の34%を占めているという。

シカゴや中西部から全米へ——流通拡大の実態

Contagiousによると、Malörtはシカゴや中西部をルーツとしていたが、現在は米国の過半数の州で販売されるに至ったという。同メディアはこの拡大について、ブランドの「別格な個性」が新規の飲み手に試飲を促す刺激として機能しており、すでに慣れ親しんだ常連客にとっては「自分たちのブランドだ」という帰属感を再確認させる効果があると指摘している。

また同メディアは、Malörtの包装(パッケージ)デザインが酒販店の棚やバーの陳列で際立つ視認性を持っており、同じく独自のパッケージで差別化を図る飲料水ブランド「Liquid Death(リキッド・デス)」と共通する戦略があると述べている。

情報ソース一覧

Malörtブランド戦略UGCマーケティング逆張り戦略

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