「理念は棚に置いた瞬間に死ぬ」40年ぶりの刷新を社員に届けた米食品企業の社内発信術

Corporate Values Die When Shelved: How a U.S. Food Giant Keeps Them Alive

ソースに基づく報道記事 5件の情報源

ポイント

  • J.M. Smucker社は企業理念を刷新
  • 社員業務に根付かせる取り組みを強化
  • 2022年に刷新した理念は行動指向型5つ

企業広報・インターナルコミュニケーション専門メディアのRagan.comは、米国食品メーカーのJ.M. Smucker社(以下、スマッカー社)が企業理念を刷新し、社員の日常業務に根付かせるための取り組みを2026年7月14日公開の記事で報じた。取材に応じたのは同社コーポレートコミュニケーション担当ディレクターのフランク・シリロ(Frank Cirillo)氏で、理念を「棚に置いた瞬間に死ぬ」という実感を言葉にした。

スマッカー社は、Smucker'sフルーツスプレッド、Jifピーナツバター、Folgersコーヒーなどのブランドを持つ食品・飲料メーカーだ。同社は1980年代に「Quality(品質)」「People(人材)」「Ethics(倫理)」「Growth(成長)」「Independence(独立性)」という5つの概念からなる企業理念「Basic Beliefs(ベーシック・ビリーフス)」を策定していた。

40年ぶりの理念刷新、抽象から行動へ

同社はこの理念を2022年に大幅に刷新した。新たなBasic Beliefsは「Be Bold(大胆であれ)」「Be Kind(親切であれ)」「Do The Right Thing(正しいことをせよ)」「Play To Win(勝ちにいけ)」「Thrive Together(共に繁栄せよ)」の5つで、いずれも動詞から始まる行動指向型の表現に切り替えられた。

シリロ氏はこの変更を「より広い概念から、社員に響き、日々の業務を導く、より行動指向的な言葉へのシフト」と説明したとRagan.comは報じている。また、刷新の理由と意味をなぜ変えるのかを社員に対して「過剰なくらいに(overcommunicate)」伝えることが重要だったと強調したという。具体的には、専用のローンチイベントを開催し、変更内容をより詳しく説明する追加リソースを社員に提供した。シリロ氏は「インターナルコミュニケーションチームが、これを一大イベントとして演出する素晴らしい仕事をしてくれた」と振り返ったと同記事は伝えている。

同社の最高経営責任者(CEO)であるマーク・スマッカー(Mark Smucker)氏は、会社の125周年を振り返る5分間の動画の中で、刷新したBasic Beliefsを「できる限り明確で簡潔なものにしようとした」と説明したという。同氏は創業者ジェローム・モンロー・スマッカー(Jerome Monroe Smucker)の玄孫(やしゃご)にあたる。「目的意識と互いへの誓いとともに、進化したBasic Beliefsは、私たちが長期的に維持したい特別な文化をより明確に描き出すものです」と語ったとRagan.comは報じた。

工場のスクリーンから報告書まで、「常に見える」仕掛け

理念を刷新しただけでは意味がないという認識のもと、スマッカー社は複数の接点でBasic Beliefsを「常に見える状態」に保つ工夫を実践しているとRagan.comは伝えた。

その一例として、同社の工場内スクリーンでは業績ニュースとともにBasic Beliefsが表示される仕組みが紹介されている。たとえば、同社のUncrustables(アンクラスタブルズ)サンドイッチブランドが年間売上10億ドル(約1500億円 ※1ドル150円換算)を超えたというニュースを伝える際、単なる数字の共有にとどまらず「Be Bold」という理念と紐付けて発信しているという。事業上の成功と企業理念を結びつけることで、理念を抽象的なスローガンから具体的な行動の結果として社員に認識させる狙いがある。

同社のオハイオ州の本社には、構内の各所にBasic Beliefsを記した看板が設置されているとRagan.comは報じた。社内イントラネット「The Neighborhood(ザ・ネイバーフッド)」上にも掲示され、経営幹部がタウンホールミーティングで言及するという。シリロ氏は「業績の勝利や受賞・表彰があったとき、その取り組みを通じてBasic Beliefsがどのように体現されたかを振り返る」と説明したとされる。

対外発信にも理念を組み込む

理念の浸透は社内にとどまらない。同社が2025年に公開したCorporate Impact Report(企業影響報告書)では、「Thrive Together」の原則が前面に打ち出されている。同報告書には「シンプルな概念でありながら、その精神は強力なコミットメントを反映しており、それは創業以来、私たちの企業の中核的な価値観であり続けている——私たちを頼りにするすべての人を支援するために事業を行っているということだ」という一節が記されているとRagan.comは紹介した。

シリロ氏は、新たな機会や課題に適応しながらもBasic Beliefsへのコミットメントを守り続けるスマッカー社の姿勢が、同社の長寿を支える大きな要因だと評価しているという。「約130年にわたって、私たちのビジネスのほぼすべての側面が変化してきたが、私たちの価値観は変わっていない」と語ったとRagan.comは伝えた。

情報ソース一覧

企業理念インターナルコミュニケーション企業文化ブランド戦略

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