「関心」より「知ること」が批判を生む:大型スポーツ大会スポンサーの報道獲得戦略を変える1つの研究知見

Sportswashing: Why Trust in World Cup Hosts Crumbles Beyond the Pitch

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「関心」より「知ること」が批判を生む:大型スポーツ大会スポンサーの報道獲得戦略を変える1つの研究知見
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ポイント

  • IPRは、グローバルな大型スポーツイベントの評判リスクについて論考した
  • 2022年カタールW杯研究では、問題認識が批判的評価を左右
  • 2026年大会も、信頼低下や国家イメージ毀損リスクを抱える

PR・コミュニケーション分野の学術研究や業界向け調査レポートを発表する非営利シンクタンクのInstitute for Public Relations(以下、IPR)は、グローバルな大型スポーツイベントが抱えるレピュテーションリスクについての論考を2026年7月1日公開の記事で報じた。

記事では、2022年FIFAワールドカップ(カタール大会)を対象とした研究の知見をもとに、現在進行中の2026年FIFAワールドカップが直面するレピュテーション上の課題を整理している。

「関心」より「認識」が批判的評価を左右する

IPRが紹介した研究では、2022年カタール大会における米国人視聴者の反応を分析した。カタール大会をめぐっては、労働者の搾取や人権侵害に関する広範な疑惑が国際社会から提起されていた。

研究チームは、視聴者が問題の深刻さをどう評価するかに影響を与える2つの要因に注目したという。1つ目は「関与度(Involvement)」、すなわち参加者が人権問題を個人的にどれほど重要だと考えているかという度合いだ。2つ目は「問題認識(Problem Recognition)」、つまり参加者が実際にその問題を認識し、さらに詳しく知りたいと感じているかどうかだという。

研究の中でもとくに重要とされる発見は、個人的な関与度が問題の深刻さの認識に有意な影響を与えなかった点だとIPRは伝えている。言い換えれば、人権問題に関心があるだけでは、状況をより深刻に評価する要因にはならなかったということだ。

一方で、問題認識については明確な影響が確認されたという。労働環境や人権上の懸念を認識し、もっと知りたいと回答した参加者は、その問題を深刻に捉える傾向が有意に高かったとIPRは報じている。

この知見が示すのは、ある問題との個人的なつながりがなくても、地理的・文化的に遠く離れた場所にいる受け手が、問題を知ることで強い否定的評価を形成しうるという点だとしている。

深刻視が「信頼」「言及意向」「旅行意向」を同時に毀損

問題を深刻だと評価した参加者には、3つの点で顕著な変化が見られたとIPRは報じている。

1点目は、カタール政府への信頼度の低下だ。2点目は、カタールについて好意的に語る意向の低下だ。3点目は、カタールを旅行先として好意的に評価する意向の低下だという。

IPRは、これらの知見が示すのは、倫理的な論争がスポーツイベント本体をはるかに超えた波及効果を持つという事実だと伝えている。政府の信頼性、国全体のレピュテーション、そして国家イメージにまで影響が及ぶという。多くの政府が国際的な存在感を高める目的で大型スポーツイベントに投資していることを踏まえると、受け手に深刻な倫理的違反があると認識された場合、意図したレピュテーション上の便益は減殺されるか、あるいは逆転しうるとIPRは指摘している。

2026年大会が抱える新たな炎上リスク

2026年ワールドカップは政治的・文化的に異なる環境で開催されるが、外部からの厳しい目にさらされるリスクは依然として残るとIPRは伝えている。

米国・カナダ・メキシコの3カ国が共同開催する今大会では、すでに人権団体から複数の懸念が表明されているという。移民への取り締まり強化、入国制限、監視活動、抗議活動の権利、開催都市における脆弱な立場の人々の立ち退き問題などが具体的に挙げられている。

ロサンゼルスでは、移民政策をめぐる議論が開催準備の文脈でも浮上しているとIPRは報じており、開催国自身が抱える社会課題が大会のレピュテーションと不可分に絡み合う構造になっていることを示唆している。

スポーツイベントのスポンサーシップをめぐる課題を論じたSports Business Journalの記事では、One Strategy Groupのシニア・バイスプレジデントであるブライアン・ライク(Brian Reich)氏が、2026年大会のスポンサーが直面するリスクを論じている。同氏によると、ホスト都市では抗議活動が相次いでおり、3カ国のホスト国間では通商問題をめぐる対立もあるという。さらに、米国が12カ国以上に対して入国制限を課しているとも述べており、その中には大会への出場資格を取得済みの代表チームを持つ国も含まれているとしている。

ライク(Brian Reich)氏は、スポンサー企業が状況を乗り越えるための具体的な手立てとして、明確な価値観と方針の策定・発信、事前のリサーチと継続的なモニタリング、メッセージのテスト、シナリオプランニングといった手法を挙げている。かつては試合が始まれば批判も忘れられたが、いまはそうではないとも指摘しており、政治や文化がスポーツイベントに多面的に入り込むようになった現状では、準備を怠ったブランドが危機に陥るリスクが高いと伝えている。

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