AI活用率77%のインドPR業界が直面する「使うほど個性が消える」逆説

India's PR Market Reaches Record High, AI Reshaping Industry Structure

ソースに基づく報道記事 8件の情報源

ポイント

  • インドのPR市場はFY26に3,230クロールピーを突破しました
  • AI活用が進む一方で、コンテンツ画一化やフェイク情報が課題です
  • GEOが新たな戦略的要点となり、市場構造も変化中

インドのPR業界団体であるPRCAI(Public Relations Consultants Association of India、インドPRコンサルタント協会)は、リサーチ会社のIpsosおよびコンサルティング会社のAstrumと共同で「SPRINT 2026」レポートをまとめた。インドのマーケティング・広報業界専門メディア「BW Marketing World」は、毎年7月16日に設けられた「ワールドPRデー」に向けた記事で、このレポートをもとにインドの広報・PR業界の現状と課題を詳報している。

市場規模は過去最高を更新

SPRINT 2026レポートによると、インドのPR市場はFY26(2025〜26年度)に前年比11%増となる3,230クロールピー(約580億円 ※1クロール=約1,800万円換算)に達した。これはアジア太平洋地域全体のPR市場の12.6%にあたる規模とされている。市場は2030年までに4,500クロールピー(約810億円)に拡大すると見込まれているという。

PrcaiのCEOであるDeeptie Sethi氏は、レポート発表に際したコメントの中で「FY26の11%成長はFY15からFY25にかけての年平均成長率(CAGR)12%からの緩やかな鈍化を反映しており、グローバルトレンドと軌を一にした市場の成熟を示している」と述べた。高成長は続くものの、業界として成熟段階に入ったとの認識が示された。

同レポートによると、業界の構造も変化しつつある。売上高が100クロールピーを超える「大手」4社と「準大手」8社が市場の大部分を押さえる一方で、中堅22社が16%という最も速いペースで成長しており、その下には145社の新興企業と500社超のマイクロ規模コンサルタントが存在するとされる。また、Value 360 Groupがインド初の株式上場コミュニケーション会社となったことも、今サイクルの注目トピックとして取り上げられた。

AIが現場に浸透、しかし新たなリスクも

SPRINT 2026レポートが調査した143名の業界シニアマネジメントのうち、77%がリサーチや情報収集にAIを活用しており、73%がコンテンツ制作に利用していると回答した。自動化されたメモ作成に66%、アイデア出しや視覚コンテンツ制作に55%、データ分析に43%がAIを使用しているとされる。一方で、AIをまったく活用していないと答えた関係者は5%にとどまった。

AI関連の投資比率についても変化が顕著だ。PR会社の技術投資は3年前には売上の2%程度だったものが、現在は約7%まで拡大しており、今後3年以内に10%に達する見込みだとされている。

しかし、AI浸透に伴う課題も浮き彫りになっている。同レポートによると、業界関係者の61%が「生成AIが生み出す画一的なコンテンツの氾濫が、独自性のある発言や思考を圧迫している」と回答した。さらに、PR業界リーダーの80%が「AIが生み出すフェイク情報やディープフェイクが最大の評判リスクである」と認識しており、FY26では46%の広報担当者が自社ブランドを標的にした偽情報の対応に実際に追われたと回答し、前年の28%から大幅に増加した。

また、生成AIを搭載した検索エンジンの普及により、「GEO(Generative Engine Optimization、生成エンジン最適化)」という新たな概念が浮上している。同レポートによると、LLM(大規模言語モデル)搭載の検索サービスは情報源の権威性を正確に判断できないため、企業が積み重ねてきた報道獲得の実績がAIに正しく評価されなければ「見えないブランド」になりかねないとされており、70%の業界関係者がGEOを中核的な戦略課題として位置づけていると報告されている。

クライアント構成と地方市場が急変

SPRINT 2026レポートは、クライアントの業種構成にも大きな変化が起きていることを示している。スタートアップ企業のクライアントシェアは2022年の6%から2026年には22%へと約4倍に膨らんだ。一方で、長らく業界を支えてきた民間大企業のシェアは48%から42%へと低下した。政府機関のシェアも4%から11%へと約3倍に増加しており、IPO活動やESG報告、ファウンダー主導ブランドの台頭がこれらの変化の背景にあると同レポートは指摘している。

地域別でも変化が鮮明だ。北インドが依然として37%で最大の市場規模を持つ一方、非主要都市からのPR収益は3年前の10%から2026年に19%へとほぼ倍増しており、25%を目標に拡大が続いているという。法人広報担当者の65%が「ティア2都市が業界の主要な成長エンジン」と回答しており、91%の専門家が「地域の文化的ニュアンスの理解は不可欠」と答え、84%が「地域に根ざしたストーリーテリングが企業評判の新たな源泉となっている」としている。

ワールドPRデーの主催団体によると、同日は1877年生まれのアメリカ人広報実務家Ivy Ledbetter Leeを記念して7月16日に制定されており、Lee氏は1906年の「宣言の原則(Declaration of Principles)」と呼ばれる近代PRの最初の倫理規範を起草した人物として広く知られている。2021年に創設されたワールドPRデーは、2025年には66カ国以上・2万人超のコミュニケーション専門家が参加する規模に成長したと同主催団体は報じている。今年のテーマは「戦略的PRの黄金時代(The Golden Age of Strategic PR)」とされており、広報が戦術的な業務から企業戦略・危機対応・ステークホルダーとの信頼構築を左右する機能へと転換したことを象徴しているという。

情報ソース一覧

インドPR市場AI広報戦略GEO

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